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[選手権]8年ぶり出場の東海大仰星が聖光学院を下し、同校史上初の16強進出

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[1.2 全国高校選手権2回戦 東海大仰星1-0聖光学院 駒沢]

 第91回全国高校サッカー選手権は2日に各地で2回戦を行い、駒沢陸上競技場の第2試合では8年ぶり4回目の出場となる東海大仰星(大阪)と初出場の聖光学院(福島)が対戦した。試合は前半39分、FW日下部孝将(3年)が決めたゴールで、東海大仰星が1-0と勝利し、同校史上初となるベスト16進出を決めた。

 立ち上がりから東海大仰星が試合を優勢に進めていく。聖光学院の山田喜行監督は、「福島県内では圧倒的とまでは言えませんが、そこそこ戦えるんです。それでも、全国の壁というか、東海大仰星さんは、戦い方がうまかった。守備のところのセカンドボールの拾い方、1対1での体の当て方。そういう高校からではなく、小さいころからの積み重ねで身につけた部分に差を感じました」と、その要因を分析した。その言葉通り、各ポジションで1対1に勝てる東海大仰星は、ボールをゴール前まで運び、チャンスをつくっていく。それでも、最後の局面では聖光学院の選手たちも体を張って得点を許さない。

 しかし、迎えた前半39分、東海大仰星のMF江郷下奨(1年)が中盤から蹴ったロングボールが、局面を変えた。ロングボールに押し戻される形になったボールは、最終ラインの背後、そして聖光学院のGK高橋南斗(3年)が飛び出せない、絶妙な位置に落下した。「相手のCB、3番と4番の後ろへの対応が若干遅いと感じていたので、ロングボールが出たら狙うように話していました」と、中務雅之監督は振り返る。その指示を忠実に遂行したのが、日下部だった。「あの形は、チームとして狙っていました」と話すレフティーが、確実にゴールネットを揺らし、先制点を挙げた。

 後半に入ってからも、東海大仰星が聖光学院を押し込む時間帯が続く。後半9分には左サイドからDF倉橋孝彰(3年)が折り返したボールをPA内で受けた主将のMF萬雄大(3年)がドリブルで仕掛ける。相手DFに倒されてPKを獲得した。追加点を挙げる絶好のチャンス、萬は自らキッカーを務めたが、シュートは「ここで決められたら、もう終わりだと思っていた」と話すGK高橋に弾かれた。

 守護神の踏ん張りに応えたい聖光学院だったが、東海大仰星の素早いチェックの前に、ボールを前に運ぶことができない。後半31分に途中出場のFW鈴木大葵(3年)がスピードに乗ったドリブルで仕掛け、ボールを前方に運ぶ。ゴールから約30メートルの距離で相手DFに倒された。このFKでFW小西尚輝(3年)が直接ゴールを狙ったが、ボールは左へ外れて行った。聖光学院の後半のシュートは、この1本のみだった。

 残り5分を切ると、東海大仰星はサイドの深い位置までボールを運び、時間稼ぎに徹する。「8年ぶりの出場で、当然、今の選手たちに選手権経験者はいません。きっちり最後はマイボールにしていくことが必要だと思いました。コーチ時代からの経験も合わせて、1-0で最後の局面はキープした方がいいと判断した」と話す中務監督の指示を選手たちは忠実に遂行し、3回戦進出を決めた。東海大仰星は3日に行われる3回戦で、長崎総科大附(長崎)と対戦する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 河合拓)

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