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[選手権]2試合連続劇的V弾!佐賀商が17年ぶりのベスト16進出!!

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[1.2 全国高校選手権2回戦 佐賀商1-0実践学園 三ツ沢]

 第91回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦を行い、ニッパツ三ツ沢球技場で開催された佐賀商(佐賀)対実践学園(東京B)戦は後半アディショナルタイムにCB松尾渉(3年)が決めた劇的な決勝ゴールによって佐賀商が1-0で勝利。95年度以来の16強進出を決めた佐賀商は、3日の3回戦で桐光学園(神奈川)と対戦する。

 “ミラクル佐賀商”だ。佐賀商は0-0のまま迎えた後半アディショナルタイム、MF大木悠輔(3年)の蹴りこんだ左FKが逆風を突いてゴール方向へ向かっていく。頭上を襲ったボールに対して実践学園GK天野将貴(3年)は右手を伸ばして触るが、クロスバーを叩いて跳ね返ったボールに「(大木から)『GKに向かって蹴るので飛び込んでくれ』と言われていた」という松尾が真っ先に反応。背番号3が右足で千金弾を押し込むと、赤いユニフォームは歓喜を大爆発させた。

 同じく松尾が後半アディショナルタイムに決勝ゴールを決めた日本航空(山梨)戦に続き、2試合連続の劇的V勝利。相良利朗監督も「驚いています。(チームの成長度は)私の想像をはるかに超えている」と目を丸くする快進撃だ。この日、試合の主導権は全国高校総体16強の実践学園に握られていた。風上に立った前半は強風に後押しを受けて先制点を狙いに行ったが、12分に大木がロングシュートを狙った1本を除くとPAにも近づくことができない。

 10番FW山崎一帆(2年)が反転から鋭いドリブルを繰り出す場面はあったが、開幕戦に続きこの日も左サイドで存在感を発揮していた実践学園MF原大和(3年)に個人技からシュートを放たれ、25分にはパスワークからMF粕川竜貴(3年)に放たれた右足シュートが枠を捉えるなど、相手に押し返されていた。

 前半終了間際には3連続CKのチャンスを得るも、右CKからファーサイドの松尾が合わせたヘディングシュートはGK天野のビッグセーブとポストに阻まれてリードを奪うことができず。後半、風上に立った実践学園は10分にMF渡辺隆斗(3年)、19分にMF伊藤健人(3年)と攻撃力の高い選手を投入。攻撃にパワーを加えて押し切ろうとする。だが佐賀商は大木が「後半は風下でキツイと思っていたけれど、信じてやった」と振り返ったように松尾とCB野方智文主将(3年)の両CB中心に相手の攻撃を跳ね返し、GK島ノ江佳祐(2年)も集中したセーブで相手のシュートを阻むなど得点を許さない。

 逆に風上だった前半以上にボールを動かした佐賀商は「初起用ですけど、ポイント、ポイントで期待に応えてくれた」と指揮官も賞賛していたMF森永優希(3年)が鋭いドリブルで実践学園の懐へ切れ込み、左SB野口優介(2年)も思い切ったオーバーラップを見せるなど、中盤がやや間延びした実践学園からチャンスをつくり出した。

 実践学園は後半30分に右サイドからのラストパスに渡辺が決定的な形で走りこむが左足シュートは枠の外。37分には中央でディフェンスを外し、最後は粕川が右足を振りぬいたものの、強烈な一撃は乾いた音とともにクロスバーを直撃した。そして試合終了間際、佐賀商がPK戦要員のGK稲富宏明(3年)を準備したところで決勝ゴール。指揮官は「PKになりそうだったら3年生に代えるということで県大会からやってきたんですけど、(交代のために)あの子(稲富)を呼ぶと、奇跡的にゴールが生まれてくれる。最後、『多分来るぞ』と思っていたら本当に(ゴールが)来ちゃってですね、(稲富が)殊勲賞かなと思っています」と周囲を笑わせた。

 県大会準決勝の佐賀北戦から4試合連続で1点差勝利。佐賀東との同決勝では2点ビハインドを跳ね返して逆転勝ちするなど勝負強さは群を抜く。相良監督は「(前半終了間際の連続CKで得点を奪うことができなかったが)『絶対来る。信じろ、信じろ』、ということで信じた結果が最後に。ウチはああいうミラクルがずっと続いている。ありがとうございます」。3回戦の対戦相手は優勝候補の桐光学園。“ミラクルゴール”を連発して勢い十分の佐賀商が95年度以来の8強進出へ、V候補も飲み込む。

[写真]2試合連続劇的勝利!笑顔の佐賀商イレブン
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)

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