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[選手権]三ツ沢を沸かせた作陽の2年生ドリブラー平岡「来年はもっともっと結果を出せる選手に」

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[1.5 全国高校選手権準々決勝 作陽1-2桐光学園 三ツ沢]

 スコアは1-1のまま、時計の針は後半40分を過ぎていた。ロスタイムも3分に突入した時、作陽はGKを太田純貴(2年)から末藤敬大(2年)に交代する。野村雅之監督は「PK戦に向けた交代で、選手にも試合前から伝えていました。あの機会を逃すと交代はできなかったし、(末藤は)PK戦で迫力がある。うちはスタメンもいつも違うし、この交代もストロングを出そうという挑戦の中での結果、たまたま点を取られた」と交代の意図を説明した。

 試合前からのプラン通りであると説明した野村監督だったが、結果的にこの交代策で一瞬、集中が切れてしまった。同点ゴールを挙げたMF永松達郎(2年)は「ちょっと気が抜けたかもしれない。PK戦になると思ってしまった」と唇を噛む。さらにGK末藤も「(PK戦という)大役を任されたのに、それ以前で失点をして情けないし、申し訳ない。(自分に)固さがあった。失点の場面も、全然覚えていません」と、目に涙を浮かべて話した。

 この敗戦を来年に、どうつなげていくか。交代出場した永松、末藤だけではなく、作陽の2年生にはタレントがそろっている。この日、スタメン出場したGK太田、DF丸野了平、MF山本義道、MF佐々木公太に加え、切れ味鋭いドリブルで観衆を何度も沸かせたMF平岡翼も、もう一度選手権の舞台に立てる可能性を残す。

 大会前に「今大会を自分の大会にしたい」と語っていた平岡は、全国で得た収穫と課題を口にしている。後半36分、同点ゴールにつながるドリブルを見せた平岡は「あれが自分の得意のプレーだし、イメージ通りにできました。永松がよく決めてくれました。アウェーのような雰囲気でしたけど、(自分の)速さで会場が沸いていたことも実感できましたし、関係なくプレーできました」と、収穫を挙げた。

 同時に4強に残るためには、さらに自身の能力を磨かなければいけないと痛感したようだ。「来年はもっと結果を出せる選手にならないといけない。技術や判断の部分で課題が見つかりました。もっともっと会場を沸かせて、もっともっとチームの結果につなげられるようにしないと『自分の大会』にはできないと思いました」

 試合後のロッカールームで2年生の選手たちは、3年生から「来年こそは絶対に国立に行ってくれ」と声を掛けられたという。「1年なんて、あっという間。来年は絶対に国立に行く。そのためにも今日から気持ちを切り替えて、日々の練習に取り組んでいきたい。負けて悔しい、この思いを忘れずに、来年はさらに成長して、また選手権に戻ってきたい」(平岡)。先輩が達成できなかった目標を達成するために…。作陽の2年生たちは次の選手権への第一歩を踏み出した。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 河合拓)

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