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[選手権]「前だけじゃない!」意地見せた京都橘守備陣、魂の守りで国立へ

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[1.5 全国高校選手権準々決勝 帝京長岡1-2京都橘 三ツ沢]

 今大会、2人で計7得点をたたき出しているFW仙頭啓矢(3年)とFW小屋松知哉(2年)の快足2トップ。2回目の出場で4強進出を果たした京都橘の躍進の象徴的存在として注目されているが、この日のヒーローは必死にゴールを守った守備陣だった。

 立ち上がりからアグレッシブにゴールを目指し、仙頭とMF中野克哉(1年)のゴールによって前半で2点リードを奪った。だが、米澤一成監督が「チームの足が止まるのが早かった。最後まで持たないかなと思っていました」というように、後半運動量の落ちたチームは多くの時間帯でゴール前に釘付けにされてしまう。

 ただし、守備陣にも意地があった。GK永井建成(2年)が「もう、前のヤツらは目立って、後ろこんなに頑張っているのに、『何で前ばかり?』という気持ちもありました。でも点取るから勝つのであって、ディフェンスもゼロに抑えるから勝てる。攻撃、守備どうこうでなくて、チームで勝ててるかなと思います」。先制ゴールを決めた仙頭と2アシストの小屋松の活躍も確かにあった。ただ運動量が落ち攻めきれなくなった時こそ守備陣の踏ん張りどころであり、見せ場。橋本夏樹(3年)と林大樹(1年)の両CB中心に相手の攻撃を跳ね返すと、永井も鋭い飛び出しと安定したキャッチングでゴールを守り切った。

 2-1で試合終了。特に終盤、必死にシュートブロックし、身体を投げ出すかのような動きでゴールを守った守備陣の奮闘が光った勝利だった。守護神は「正直な気持ち嬉しいです!(守ったったど!という気持ち?)そうですね。イメージはPKでも勝つイメージでした。1点取られちゃったんで悔しいですけど、『守りきったな』と言えると思います」と納得の笑顔。仙頭は「危ない場面はたくさんあって、クロスの場面とかも(何度も)あったんですけど、相手が身体強い中でも身体を張って守ってくれたので、ボクたちもそれに応えなければいけないと思います」と桐光学園(神奈川)と戦う準決勝でもゴールを奪うことを誓った。

 もちろん、その心意気に守備陣も応えるつもりだ。橋本は「どうしても点を取ることが目立つけれど、こっちも地道に頑張っていこうと思っています」と誓う。2トップ中心に勢いが止まらない攻撃陣と、「前だけじゃない」という意地の守りでこの日勝利をもたらした守備陣が互いに最大限力を発揮して、次は国立1勝を果たす。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

 
(取材・文 吉田太郎)
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