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[選手権予選]青森山田のU-18日本代表候補GK田中「自分が背負っているものを、日本一で形に」

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[10.26 全国高校選手権青森県予選決勝 青森山田8-0八戸学院野辺地西 青森総合]

 八戸学院野辺地西のシュートはわずか3本。危険なシュートは後半アディショナルタイムにスルーパスから放たれた1本だけだった。その1本も青森山田のU-18日本代表候補GK田中雄大(3年)ががっちりキャッチし、得点には結びつかなかった。

 この日ボールに触れる機会はほとんどなかった田中だが、「青森県だと隙を与えるのも減らしていかないと、全国で通用しないと思っていた。自分の理想像というのはディフェンスラインをしっかり引っ張っていくGK。ディフェンスライン4枚のDFのリーダーになるということを考えている。セーブとかに関しては仕事がなかったけれど、GKとしてはずっと仕事があったと思います」。常にディフェンスラインに大声をかけ続け、危険を事前に回避して無失点で決勝を終えた。

 昨年度の全国大会では初戦で3年生守護神のGK野坂浩亮(現大阪体育大)が負傷退場。いきなり出番が回ってきた田中は、PK戦でヒーローとなったが、キックミスなどがあり、満足のいくプレーをすることができなかった。「世間から見ると、緊急出場で緊張の中のプレーだったと思われていると思うんですけど、自分の中では緊張していなかった中でのああいうプレーだった。技術が全然足りないなと思いました」。ただ自分のできなかったことを1年間かけて一つひとつ克服し、現在は自信を持ってプレーできるようになった。

 こだわっているのは「心」の成長。「自分はGKをやっているんですけど、その前に一人のサッカー選手であり、サッカー選手である前にひとりの人間だと思っている。心技体という言葉では、心が一番最初に来ている。自分はまずそれを磨くことを意識している。私生活とサッカーは表裏一体。私生活の部分も大事なのでキャプテンとともにやってきた」と日常から自分自身、チームの心の部分をいい方向へ持っていくことを意識している。

 年代別の日本代表候補に選出されたことで、意識はより高まった。「代表に入れさせてもらいましたけれど、自分の力とは思っていない。GKコーチの日々のトレーニングや、監督の推薦があったからと思っている。周りに活かされている。(代表に選ばれたという)責任を含めてプレーしていかないといけない」と力を込める。関東リーグ1部の大学へ進む予定だが、目標はプロ。その前に青森山田で日本一を獲得して恩返ししたい気持ちが強い。「(負傷でわずかな時間しかプレーできなかった)去年の野坂さんのこととかありますし、今選手権へ向けてプレーしている自分は誰よりも責任というか背負っているものは違うと思っている。選手権はまだ優勝していないですし、絶対に優勝しなければいけないと思っています。野坂さんとは一番自分が仲が良かった。自分が背負っているものを、日本一で形にして恩返しできればいいと思っています」と注目守護神は静かに誓った。

(取材・文 吉田太郎)
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