beacon

[選手権予選]「選手権には行かないといけない」野洲、アディショナルタイムV弾で水口破る:滋賀

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.31 全国高校選手権滋賀予選3回戦 野洲2-1水口 ビッグレイク]

 第92回全国高校サッカー選手権滋賀県予選3回戦(ベスト16)が31日、ビッグレイクで行われ、2連覇を目指す野洲と水口が対戦。2-1で野洲が勝利し、ベスト8に駒を進めた。

「相手は引き分け位をイメージしているやろから、試合前から難しいかな、やりづらいかなとは思っていた」という野洲・山本佳司監督の言葉通り、選手権の難しさを表した試合となった。

 開始直後に右サイドで与えたスローインが水口のボランチ、田中優哉(2年)へと渡り、逆サイドへと展開されたボールを、走りこんだMF本村凌(3年)にフリーでシュートを打たれたが、野洲はすぐに立て直し、MF平石健祐(2年)を中心にボールを動かして主導権を掴んでいく。

 10分には中盤でのFW中村真輝(3年)とのゆったりとしたパス回しで相手ラインを上げた平石が、浮き球を左のスペースへ配給。走りこんだFW近藤裕貴(1年)の折り返しを、PA手前で平石が受けて、ループシュートを狙うも、枠を捉える事が出来ない。

 野洲はその後もポゼッションこそするものの、山本監督は「やろうとしている事は浸透してきているけど、まだまだ噛み合ってない。普段やっている事が本番で出来ていない。消極的というか、守られてカウンターを受けるのが嫌やから、受けてから考え、2タッチ目が遅くなって、相手が頑張ろうとしている所に突っ掛ってしまった」。相手が守備の狙いを定めたゴール前を避けて、警戒の薄い両サイドから仕掛けるもゴール前への折り返しを生かせず、前半が終了する。

 後半に入ってからはゴール前の難しいエリアにボールを一旦預け、サイドへ展開。高い位置で相手守備陣を翻弄する場面が増え始め、後半6分には左サイドから切れ込んだ中村がPA中央から振りぬいた一撃で先制。その後も運動量の落ちた水口を押し込み続ける。

 このまま逃げ切りに成功するかと思われたが、アクシデントは40分に起きる。右サイドを崩され、ゴール前に入れられたクロスがPAでMF三崎クリストファー定(3年)の手に当たり、ハンドの判定。このPKを水口MF佐々木翔吾(3年)に決められ、同点に追いつかれてしまう。

 だが、野洲は最後まで諦めていなかった。「しょうがない失点やったんで、一旦、PKを覚悟した」と中村は振り返りつつも、「相手はもう延長やと思っていたと思う。後一回くらいチャンスがあると思った」と口にした通り、チャンスは3分後に訪れた。

 アディショナルタイム突入後の43分、中村が左サイドからドリブルで切れ込み、一度はDFにコースを切られ、スクランブル状態になるも、「最悪PKを取れればいいかなと前に出たら、いい感じで抜けた」と強引にGKの真正面に抜け出し、振りぬいた一撃がネットを揺らし、タイムアップ。辛うじて勝利を手にして、ベスト8に駒を進めた。

 選手皆がホッとした表情を浮かべたように、今年の野洲には選手権を落とせない理由があった。プリンスリーグ関西1部で8位に沈み、来季の出場権をかけた参入戦では大阪代表の履正社に0-6と大敗を喫した。まだプレミアリーグの昇降格次第で残留の目もあるが、中村は「選手権を取らないと俺らは何もできていない。滋賀県で唯一、プリンス1部に残っていて、あのステージは伝統やと思っていた。結果を残せなかった責任を感じている。あと、選手権しか後輩たちに見せられる場がないので内容がどうであれ、選手権には行かないといけない」と唇を噛み締める。

 次戦、ベスト8の対戦相手は古豪・守山。中一日での試合と決して楽ではないが、定めた目標のためにはここで負けるわけにはいかない。優勝まで残り3試合、野洲のイレブンは最後まで駆け抜ける。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2013

TOP