beacon

[MOM948]星稜DF森下洋平(3年)_不敵な右サイドの屋台骨!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]

[1.2 全国高校選手権2回戦 星稜5-0一条 駒沢]

 星稜の持ち味はサイド攻撃。そのスタイルをもっとも体現しているのが右SB森下洋平(3年)といっていい。前回大会国立に勝ち進んだ星稜のメンバーは今年も粒ぞろい。各ポジションに適した選手が配されている観があるが、なかでも際立つのが森下だ。単純に「運動量が多い」ため、ピッチ上で目立つ。

「僕の持ち味はどんどんオーバーラップしてクロスを上げることです。今日も後半はスペースがあったら行け、と言われていました。要所要所でいいプレーができたと思います」とは本人の試合後の感想。しかし、その存在感は前半から大きかった。

 前半28分には右サイドから中央へ駆けだしフリーでシュート。惜しくも一条GK森岡和哉(2年)に弾かれるものの、相手からすると虚をつかれたような動きだった。守備でも前半36分、MF松室直希(2年)の中央突破を右サイドから寄せていき止めている。サイドにとらわれない動きで攻守にわたりチームの要所を締める。そしてサイド攻撃。一条の前田久監督が「後半立ち上がりのCKからの失点が痛かった。…星稜のCKの強さは日本一じゃないですか?」と舌を巻いた2点目。ゴールを導いた右CKは、森下のオーバーラップから得たものだった。

 このように記録や数字には表れないかもしれないが、チームの屋台骨として絶対不可欠な存在といえる。それはプレー面でも精神面でも。「ケガから復帰したMF寺村介(3年)が左に入ったことで、左サイドも活性化しました。右サイドは僕、左サイドは寺村。両サイドが活性化すれば相手もイヤじゃないですか。彼がいなかったときは正直、右サイド偏重だったので…」。

 9月にキャプテン寺村が骨折してチームを離れて以来、キャプテンマークを巻いたのは副キャプテンの森下だった。チームの求心力として、そして攻撃のオプションとして石川県大会では獅子奮迅の大活躍。この試合でも28分に寺村が交代で退場する時、キャプテンマークを託された。左のキャプテン寺村、そして右の副キャプテン森下。この2人が星稜サイド攻撃の両翼といえる。

 フル出場を果たした森下は試合終盤になってもキレのあるオーバーラップを見せ、まだ余力を残したかのような余裕な振る舞いでタイムアップを迎えた。その体力の源泉はいったいどこに?

「中学時代はクラブチーム(エスポワール白山FC)でサッカーをしていたのですが、中学校でも部活に入らなくてはいけなくて。それで陸上部に入って中長距離の800メートルや1500メートルを走っていました。月水金が部活、火木土日がクラブという生活で。陸上では中学1年の時に県大会で4位になったこともあります。そんなたいした成績じゃないですけど(笑)、当時のトレーニングがいきてるのかもしれませんね」。

 スピードに乗った鋭いオーバーラップ、そして無尽蔵のスタミナは現日本代表の左右SB、内田篤人、長友佑都のいいとこ取りのようにも見えるが…。「両選手とも見ていますが、意識しているのは同じ右SBの内田選手。タテへの仕掛けや前でボールを受けてスピードに乗ったプレーは印象的です。でも長友選手も見てますし…。いろんな要素を取り入れて自分なりのスタイルを構築したいですね」。

 代理キャプテンをしてきた影響なのか、しっかりした自分を持っている。これからの試合でも自分を貫けるか。貫ければ…唯一無二のSBとしての評価が待っている。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 伊藤亮)

▼関連リンク
【特設】高校選手権2013
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

TOP