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[MOM1191]帝京三MF佐野達也(3年)_「年に一度」のファインゴールと勝利導いた献身

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.1 全国高校選手権山梨県予選準決勝 日本航空高 1-2(延長)帝京三高 中銀スタ]

「1年間に一度出るかどうか。滅多にない」。帝京三高の相良和弘監督は試合の流れを取り戻す一撃に驚いていた。ボールを支配しながら0-1で折り返した試合は、後半開始直後の3分、MF土屋守の左クロスをDFの前に入り込んだMF佐野達也(3年)が左足ダイレクトで叩きこむ。指揮官は佐野が苦手な左足シュートに取り組んでいた成果が出たことを喜びながらも、ファインゴールはやはり意外だったようだ。

 佐野本人も「左足は得意じゃないです」と言い切る。ただし、「大振りしたらダメだと思って、膝下だけで行ったらちょうどいい感じだった」と狙い通りに放った一撃を振り返った。この一撃はまさに「怪我の功名」だった。佐野は右ももを負傷して1か月前に復帰したばかり。右足に負荷をかけたくなかったこともあって取り組んだのが、左足シュートだった。「左足重視でやっていました。痛い時に右足蹴れないので左足の練習をしていました」。その取り組みがこの日、全国高校総体の秋田南高戦以来となる公式戦ゴールをもたらした。

「好きな選手はロナウジーニョ」と元ブラジル代表の10番を挙げる佐野は元々足技を活かした突破が武器な攻撃的な選手。ただ、この日はシャドーのポジションから最後はボランチに下がって守備に奮闘した。相良監督も佐野や、MF杉浦大介といった3年生たちの奮闘に「良く頑張りましたね。チームのために戦っている」と感謝。佐野は「実際は足下でやりたいんですけど・・・」と微笑みながらも「そんな点決めるキャラじゃない。チームのためには守備とか、球際とか、そっちの方からやっていきたい」とフォア・ザ・チームに徹することを宣言した。準決勝を控えたこの1、2週間はボランチをはじめ中盤全てのポジションでプレーできるだけの準備をしていたというMFが、決勝でもチームの勝利を最優先して戦う。

 3回戦で星稜高に競り負けた夏の全国高校総体。「気持ちが足りなかったと思います。最後の部分は自分の中でこだわってやってきました」という佐野は決勝、そして全国大会へ向けて「上でもどれだけ自分のプレーができるか、自分のプレーを見てもらえるか。走るとか、球際とかは弱くなったらいけない。そこプラスを足下を磨いていきたい」。理想像は“走る、戦うファンタジスタ”。決勝でも佐野が持ち味を発揮して勝利に貢献する。

(取材・文 吉田太郎)
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