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[選手権予選]タフさ、勝負強さ増してきた伝統校・習志野、延長戦で船橋北振り切る:千葉

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延長前半開始直後、習志野はMF金木壱成が決勝ゴール

[10.8 全国高校選手権千葉県予選決勝T1回戦 習志野高 2-1(延長)船橋北高 習志野高G]

 8日、第95回全国高校サッカー選手権千葉県予選の決勝トーナメントが開幕。1回戦6試合が行われ、98年以来18年ぶりの全国出場を狙う伝統校・習志野高は延長前半開始直後にMF金木壱成(2年)が決めた決勝点によって船橋北高に2-1で勝った。習志野は29日の2回戦で東京学館浦安高と戦う。

 雨中の熱戦を習志野が制した。序盤から出足よく攻撃を繰り出していたのは、習志野の方。局面での崩しに次々と関わってくるMF島田泰輝(3年)や10番の左SH海田航佑主将(3年)、また右SB井上晃史郎(3年)らが個で突破を図り、またショートパスでDFの背中を取るなどPAまでボールを運んできていた。特に左SBからSHへポジションを上げた海田は「このチームは中盤力が課題だったので、自分が前線とDFラインとをリンクできるように供給するポイントになったり、自分は縦に突破することもできるし、内巻きのクロスで攻撃を活性化できれば」と攻撃の中心に。そして17分、井上が獲得した右CKを海田が蹴り込むと、中央へ飛び込んだCB埴田裕己(3年)がヘディングシュートを突き刺してリードを奪った。
 
 対する船橋北は1年生FW渡邉未弦が前線で健闘。幾度かポイントをつくってチームを押し上げさせると11分にはDF長谷川裕哉(3年)の左足FKをPAでDF村上一馬(2年)が競り勝ち、DF高橋諒(3年)が決定的な右足ボレー。だが、習志野の強力CBコンビ、埴田、木村将己(3年)は簡単に相手をゴールに近づけない。ともに高さを発揮しながら、判断よくインターセプト、際のところで身体を投げ出して相手を止めるなど厚い壁であることを示していた。だが、習志野もショートカウンターから島田が右足シュートを打ち込むなど2点目のチャンスをつくりながら、中央で守りを締めるDF山口泰生(3年)やスペースを幅広くカバーするMF和田修也(3年)ら船橋北守備陣に跳ね返され、畳み掛けることができなかった。

 1-0と習志野リードで前半を終了。船橋北はFW西村翼(3年)、習志野は金木とともに後半開始から高い攻撃力を備えた選手を投入し、次の1点を目指していく。特にボールを受けてから間髪入れずに仕掛ける西村のドリブルが習志野を苦しめる。習志野に押し込まれる中での試合が続いていたことは確かだが、一方で船橋北は西村のドリブルなどサイドから一気にボールを運んで反撃する回数も増加。そして後半24分、西村の仕掛けから交代出場のFW木次陽太(2年)がゴール正面右寄りの位置でFKを獲得する。これをキッカーの西村が右足で巻き込むようにFKを蹴り込むと、GKから逃げるような軌道を描いた一撃がそのままゴール左隅へ突き刺さった。

 鮮やかな同点弾に沸き上がる船橋北イレブン。すぐに攻撃のギアを上げた習志野は32分にショートパスの連続からFW米田陽斗(3年)が抜け出すがシュートはGK板垣大輝が阻止する。逆に39分、船橋北に訪れたビッグチャンス。MF青木圭吾(2年)が左サイドを切れ込んでクロスを上げると、これをファーサイドの渡邉が右足で合わせる。だが、習志野GK亀山浩太郎(3年)が止め、こぼれ球に飛び込んだ西村のシュートも間一髪でCKに逃れた。習志野もアディショナルタイムに海田の左クロスにフリーで金木が飛び込んだが、シュートは枠上へ。試合は1-1のまま延長戦に突入した。

 その前半開始直後、習志野がスコアを動かす。右サイドを駆け上がった井上のクロスにファーサイドから米田が飛び込む。最後は金木が体勢を崩しながら放った一撃がGKの頭上を越えてゴールに吸い込まれた。船橋北もサイドからの攻撃で青木や木次がチャンスを迎えたが決めきることができず。習志野が苦戦しながらも初戦を突破した。

 今年の習志野は海田や木村という主軸の負傷もあって、県内トーナメント戦で結果が出ていなかった。だがここへ来て、県2部リーグ戦では逆転されながらも再びひっくり返したり、終了間際の得点で勝利したりする試合が続いているという。夏のオランダ遠征を経て埴田や井上ら戦える選手になったことも好材料に。砂金伸監督は「大分良くなりましたよ。我慢もできるし、こういう展開になっても弱気になる感じが大分なくなってきた。精神的に大分タフになってきた。この時期になると3年生が大分伸びてきますね」と目を細める。選手たちもそれが自信になっており、海田は「関東予選とか点取られると興奮して立て直すことができなかった。でも、落ち着きが出てきて(得点を)取り戻すようになってきた」

 かつて全国高校選手権を2度、全国高校総体も1度制している習志野も選手権出場は98年度が最後。それだけに海田は「ちょっと古豪というイメージが強いと思う。市船、流経に覇権を取られている。自分たちが一個上に行きたい」。昨年、準決勝で流通経済大柏高を追い詰めたメンバーが半数残る今年。精神的にタフさが身につき、この日追いつかれても沈めずに勝ちきったチームが激戦区・千葉を逞しく勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
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