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[選手権予選]攻撃のキーマンは左サイドにあり。沖縄No1司令塔の活躍で那覇西が準々決勝に進出!:沖縄

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[10.22 全国高校選手権沖縄県予選4回戦 那覇西高 7-0 北谷高]

 第95回全国高校サッカー選手権沖縄県予選の4回戦が22日に行われ、昨年度の代表校・那覇西高は北谷高に7-0で快勝。29日に行われる準々決勝へ順当に駒を進めた。
 
 序盤から左MF津嘉山海(3年)を起点に攻勢を仕掛けた那覇西。5分と16分に右MF東風平朝志(2年)がネットを揺らすと、直後の17分にはMF上原牧人(3年)のゴールで序盤から3点のリードを得た。28分にもDF伊波佳祐(3年)が加点し、前半だけで4得点。「緊張している子もいたので、(攻撃陣の)やるべき選手が仕事をして、試合が落ち着いた」(玉城真哉監督)。
 
 後半に入っても那覇西は攻撃の手を緩めない。遅攻と速攻を織り交ぜた仕掛けで北谷を圧倒すると、17分には津嘉山が左サイドから追加点を奪取。終盤にもMF箕輪勇岐(2年)、上原牧が得点を重ね、那覇西は危なげなく勝利を手中に収めた。
 
 試合後、玉城監督は「前半の最初はイージーなミスから相手に運ばれることもあった」と課題を口にした。しかし、「(10月15日の)3回戦もだが、津嘉山と上原(牧)が今回の試合でも早めに仕事をしてくれたので、ゲームが楽になった」とも語り、昨年からレギュラーとしてピッチに立つ2人のプレーに賛辞を贈った。

 中でも2年時から背番号10を身に纏う津嘉山のプレーは圧巻だった。左サイドを定位置としながらも、変幻自在に中へと切り込むなど攻撃の潤滑剤として躍動。精度の高いプレーで攻撃を司りながら、自らネットを揺らす姿は“沖縄No1司令塔”の評価に恥じない活躍ぶりだった。
 
 元々、トップ下が本職だった津嘉山。昨年もその位置で選手権本大会に出場し、今年も4-1-2-3のトップ下が自らのポジションだった。しかし、夏の全国総体で守備が破綻したことを受け、チームは中盤をダブルボランチにする4-2-3-1の布陣へと変更。そして、「上原(牧)はストライカーでもなく、サイドプレーヤーでもなくて、当てはまるポジションがなかった。もしかすると、パスを出す方があっているのかなと思って、トップ下に置いた」(玉城監督)というチーム事情から、津嘉山は左サイドハーフへの転向を命じられた。ただ、この配置転換が彼のプレーを大きく変える。

 トップ下でプレー時の津嘉山は、相手のプレッシャーに潰される場面が多かった。しかし、「トップ下にいると相手がガツガツ来るけど、サイドに入ると結構余裕が生まれる」(津嘉山)。これにより、彼のゲームを読む力や技術力がより生かされるようになり、指揮官が「(ほとんどの)得点は2人(上原と津嘉山)で取っている」と語るように、得点力も大幅に向上。同会場で試合を行った他校の選手からも「やっぱりあいつは凄い」という声が聞かれ、ライバルたちにも自身の存在感をまざまざと見せ付けた。

 また、昨年の選手権全国大会1回戦で新潟明訓高に敗れたことも、彼を大きく成長させた要因のひとつである。「攻撃の崩しの部分では合わないこともあったけど、上手くいくこともあった」と自身のプレーに手応えを掴み、全国でも十分に通用することが分かった。ただ、それと同時に改善の余地があることも痛感。誰よりも厳しくサッカーと向き合うようになり、「走りも足りないけど、それ以上に技術の差や精度。そして、体格でも差を感じた。そこから、ご飯を食べる量も意識して、練習からかなり意識するようになった」(津嘉山)。その結果、プレーに安定度が備わり、当たり負けする場面も激減した。

 今後の進路は未定だが、大学経由でのプロ入りを念頭に置く背番号10。高校最後の大会でアピールし、自らの道を切り開けるか。それをなし得るには自らが躍動し、チームを全国大会に導くことが必要不可欠。準々決勝以降も左サイドで己の存在感を示す覚悟である。

(取材・文 松尾祐希)
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