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[選手権予選]藤枝明誠のFW遠野、ひねり打ち2発で全国切符つかむ逆転演出:静岡

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[11.19 全国高校選手権静岡県予選決勝 藤枝明誠高 3-2 浜松開誠館高 エコパ]

 苦しい時間に「ダイヤ」が輝いた。第95回全国高校サッカー選手権の静岡県大会は19日に決勝を行い、藤枝明誠高が3-2で浜松開誠館高を下して7年ぶり2度目の全国大会出場を決めた。

 前半5分に左CKをDF津野匡哉が頭で合わせて先制した藤枝明誠が先に攻撃のリズムをつかんだが、前半終了間際に浜松開誠館の左MF神田修愛がクロスからヘディングシュートをたたき込んで同点とすると、試合のペースは一転。後半は浜松開誠館が優位に立ち、後半9分にロングスローから生まれた競り合いのこぼれ球を右MF三浦倭が蹴り込んで逆転した。しかし、やや守りに入った浜松開誠館に対し、藤枝明誠は前半の勢いを取り戻すかのように攻撃のリズムを修正。終盤に2得点に絡んで再逆転勝利を呼び込んだのが、右FW遠野大弥だった。3月(弥生)に生まれた我が子が大きく育つようにと親が願いを込めた名前だが、試合終盤は、名の読みのごとく「ダイヤ」の輝きを放った。

 遠野のポジションは3トップの右だが、前線の3人は流動的に動く。左に流れてボールを受け、スピードを生かしたカットインから、ひねりの効いた2発を見舞った。1-2で迎えた後半28分は、カットインを仕掛けると、逆サイドから交差して来た仲間にボールを預けるスイッチプレーで相手を欺いた。「(ボールが戻って)来るかどうかは分からなかったけど、そのまま右に流れていったら、こぼれてきた」と仲間が左からすぐさま中央、右と展開したボールを右足で叩き込んだ。ラストパスが右へ流れたため、腰を入れて鋭角にシュート。実際は枠の外だったが相手に当たってネットを揺らした。記録はオウンゴールだが、貴重な“同点弾”となった。さらに後半36分には左からのカットインで逆サイドまでドリブルを続けて相手を振り切り、再び腰をひねってシュート。試合終了間際のランニングプレーで精度を欠いてもおかしくはなかったが、今度はきっちりと枠に飛ばした。相手にブロックはされたが、そのままゴール。今度は公式記録に名前が刻まれた。

 遠野は「前半は何もしていなくて、後半は点を取って貢献したいと思っていた。自分の特徴であるスピードを生かして点が取れた。ボールを持つと周りが見えなくなってしまうところがあるので、3点目は、突破してシュートしか頭になかったという感じだったけど、入って良かった」と苦笑いを浮かべながら、喜んだ。身長は160cm台で小柄だが、スピードもバネもある。ボレーシュートも得意で、全国大会でも得点源の1人として期待される。激戦を制した選手を労った松本安司監督は「点を取られてから中盤と前線の距離が開いてしまったが、修正をして最後は(3トップの中央に入る)藤本一輝と遠野との距離が縮まった。遠野は身体能力が高い子で、準決勝からキレが戻ってきた。よく延長に入る前に決着をつけた。昨年から信頼を置いているし、彼の一番の良さが出た。シュートも上手い」と再逆転を呼び込んだ遠野の働きに満足の表情を見せた。

 遠野は卒業後、社会人の強豪チームに進む予定だ。少しでもレベルの高いリーグで試合がしたいと大学ではなく社会人サッカーを選んだ。その先に見ている目標は、プロ入りだ。全国大会は、アピールの場となる。超攻撃的サッカーを掲げて静岡の頂点に立った藤枝明誠の右サイドから、遠野は将来の道を切り拓くつもりだ。

(取材・文 平野貴也)
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