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わずか1プレーで会場沸かせた! 正智深谷の1年生MFオナイウ情滋が選手権デビュー

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正智深谷高MFオナイウ情滋が会場を沸かせた

[1.3 全国高校選手権3回戦 創造学園高 0-3 正智深谷高 浦和駒場]

 初の8強進出を懸けた2チームの戦い。地元埼玉の正智深谷高が3ゴールを奪って快勝したが、会場を最も沸かせたのは後半アディショナルタイム突入後の後半42分から登場した1年生MFだった。

 MFオナイウ情滋(1年)がピッチに投入されると、応援席はすでに興奮状態。アディショナルタイムの表示は3分でボールに触れられないまま試合終了を迎える可能性もあったが、“もっている”ルーキーはわずか1プレーでスタンドをどよめかせた。

 自陣左タッチライン際でボールを持つと、圧巻のスピードで前進。0-3だが1点でも奪い返したい創造学園高のDFが奪いに行くが全く止まらない。結局、ひとりで50mもボールを運んでボールを繋ぎ、直後に試合終了の笛が鳴った。

 兄は13年に正智深谷が全国高校総体ベスト4へ進出した時のエースで、来季から浦和でプレーするFWオナイウ阿道。偉大な先輩でもある兄のおかげでオナイウ情滋は1年生ながらすでに知名度十分のプレーヤーだ。

 小島時和監督は「3-0なって余裕が出てきたのでデビューさせた。楽しみだな」と笑顔。その1年生MFはデビュー戦について「やってやろうという感じがありました。県予選も出れていなかったので。ここでやったら自分の夢に一歩近づくと思った。自分の持っているもの全部出してやろうと思った」と振り返った。

 この日の朝には兄からメッセージが届いたという。「あんまり関心とか持たないタイプなんですけど、珍しく『頑張れよ』とLINEが来た」。そのエールにも応える形でインパクト十分の選手権デビューを果たした。

 選手権の雰囲気をまたピッチで味わう。「(きょうプレーしてみて)鳥肌というか、自分に力沸いてきた。あの声をもう一回聞きたいと思いますし、できる努力を何でもして。ひとりの選手として、また味わいたいですね」。次の目標は青森山田高に勝利して準決勝が開催される埼玉スタジアムのピッチに立つこと。兄が浦和のユニフォームをまとって埼スタのピッチに立つ前に弟が埼スタを沸かせるか。次戦起用されるかどうかは試合展開によるだろうが、スピードという武器を持つオナイウは準備を欠かさずに出番を待つ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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