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土壇場同点弾含む2発も痛恨のPK失敗…一条MF加茂「自分のせいで負けた」

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2度の同点弾を決めながらPK戦で失敗し、涙のMF加茂裕輝(3年)

[1.3 全国高校選手権3回戦 一条高2-2(PK3-4)佐野日大高 駒沢]

 自分を責め、泣きじゃくった。80分間で2得点。一条高(奈良)のMF加茂裕輝(3年)は2度の同点ゴールを奪い、敗戦濃厚のチームを救った。ところが、後半39分の劇的同点弾で持ち込んだPK戦。2人目のキッカーを務めた加茂がGKに止められた。「自分のせいで負けてしまった。本当に申し訳ない」。嗚咽を漏らしながら、悔し涙をボロボロとこぼした。

 1-2のまま試合終了かと思われた後半39分、右CKからゴール前の混戦の中、粘りに粘った。MF樋口拓海(3年)のシュートはGKに弾かれたが、こぼれ球を加茂がシュート。これもゴールライン上のDFに阻まれたが、跳ね返りをもう一度拾って今度こそ左足で押し込んだ。

「樋口が打ったボールが大きくこぼれた。粘り強く拾うことができて、それがゴールにつながった」。土壇場の同点弾で試合はPK戦にもつれ込むと、後攻の佐野日大1人目のキックをGK本山善敏(3年)が見事にセーブ。流れは一条に傾いたかに思われた。ところが……。

 後攻の一条2人目。直後のキッカーとしてペナルティースポットに向かう加茂は「少しだけ考えてしまった」と、目の前で見たPK失敗の嫌なイメージが脳裏をよぎってしまう。「練習でも右に蹴っていた」というゴール右隅を狙ったキックはGK中村一貴(3年)に読まれ、弾き出された。一条は4人目もGKに止められ、万事休す。PK3-4で競り負けた。

 大会を通して得られたものは「仲間との絆」だ。夏の全国総体後には「中盤より前とDFラインで意見が合わず、喧嘩をして一回チームがバラバラになった」という。そこからもう一度、話し合いをし、チームは固く結束。3年ぶり7度目の全国高校選手権出場を果たし、過去最高の16強入りを果たした。初の8強はならなかったが、大舞台での2発には胸を張っていい。「後輩は一人ひとりの技術も高いし、自分たちよりも強い。必ず自分たちより上に行けると思う」。終戦の責任をだれよりも感じながら、後輩へエールを送った。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 佐藤亜希子)

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