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欠場の判断した3年生CBのためにも勝利へ一丸。湘南学院が第3シード・横浜創英破り、初の8強入りへ前進!:神奈川

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勝利を喜ぶ湘南学院高イレブン

[9.23 選手権神奈川県2次予選2回戦 横浜創英高 0-1 湘南学院高 湘南学院高G]

 23日、第96回全国高校サッカー選手権神奈川県2次予選2回戦が行われ、昨年のインターハイ出場校・横浜創英高湘南学院高が激突。2年生FW飯野智也の決勝点によって湘南学院が1-0で勝ち、弥栄高との3回戦(10月21日)へ駒を進めた。

 関東大会予選では日大藤沢高、インターハイ予選では湘南工科大附高と、いずれもベスト4へ進出した相手に競り負けていた。その湘南学院が第3シード・横浜創英を撃破。初のベスト8進出まであと1勝とした。

 当初、この日の先発リストには守備の柱であるCB大山輝士(3年)が名を連ねていたが、太ももの怪我によってプレーすることは難しいと判断。「(出たい気持ちを抑えて)『チームのために我慢します』、と涙を見せながら言ってくれた」(高村一也監督)、「出たい気持ちがあったと思うんですけど、自分たちを信じて、決断してくれた」(右SB小澤恭也主将、3年)という大山の思いに湘南学院の選手、スタッフが応えようと一丸となっていた。

 横浜創英はポゼッションから連続での1タッチパスで守りを切り崩すことを得意とするが、この日は湘南学院の鋭いプレッシャーもあってか、前へ急ぎすぎてしまい、ボールを繋いで攻める“らしさ”が見られない。試合は立ち上がりから飯野のスピードを活かした背後へのパスと、キープ力とスルーパスを武器とするMF井内悠人(2年)や10番MF篠原和希(3年)らが絡んでの崩しを見せる湘南学院が押し気味に試合を進める。

 そして35分、湘南学院は右サイドから中へ切れ込んだ小澤主将がスルーパス。タイミング良く抜け出した飯野がGKをかわすと、そのまま右サイドの角度のない位置から右足シュートを流し込んだ。

 一方、昨年のインターハイメンバーである10番FW木澤海智(3年)や期待の2年生FW綿谷航平が相手の背後を突く動きを見せるなどチャンスも作った横浜創英だが、前半は無得点。後半4分、スルーパスに綿谷が反応し、6分には綿谷がカットインから左足シュートを放ったが、いずれも湘南学院GK伊藤優希(3年)の好守に阻まれてしまう。

 後半、湘南学院は押し込まれ、守勢に回る展開となったが、大山に代わって先発した鈴木凱斗と長島頌ヤニック(2年)の両CBや1対1で幾度も相手の突破をストップしていたSB小澤をはじめ、個々が相手の攻撃に粘り強く対応して決定打を打たせない。

 横浜創英は後半に入り、マークをズラしてボールを繋ぐ攻撃が大分出るようになり、綿谷やMF下田平凌(3年)らが敵陣で仕掛ける回数を増やしていた。だが、小澤が「みんなの気持ちでカバーしあって、(大山)輝士もベンチに入ってずっと声を出してくれていたので、それがずっと聞こえていた」と気迫の守りを見せる湘南学院は堅く、こじ開けることができない。横浜創英は攻撃を跳ね返され、逆に交代出場の湘南学院MF小谷竜也(3年)の前へ出る力などに押し返されてしまっていた。

 後半40分には左クロスから左SB池内龍哉(3年)が決定的な右足シュートを放ったが、ポストに当たったボールをクリアされてしまう。そして1-0のまま試合終了。ピッチ、ベンチ前で湘南学院の歓喜の輪が出来た。

 駒澤大で現FC東京・安間貴義監督と同期だったという湘南学院・高村監督は選手、コーチングスタッフに恵まれていることを感謝。そして「ウチは一つひとつ頑張るだけ。少しでも長く3年生とやりたいですね。今までの歴史を変えないといけない」と過去最高成績となる選手権予選ベスト8進出、それ以上へ期待を寄せた。

 そして、2年生MF井内は「一致団結できて戦っている。3年生は最後の大会。サポートできればいい」と語り、小澤は「3年生は最後だからやらないといけないし、2年生も結果出したいし、来年に繋がる大会にしたいと思っているので、自分たちは負けないようにして力を合わせて今までやってきたことを出せるようにしたいです」と誓った。3年生中心にまとまりが出てきたという湘南学院が高い目標を持って努力を続け、1か月後の3回戦も勝利してまずは初の選手権予選8強入りを果たす。

(取材・文 吉田太郎)
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