beacon

立花健斗のスーパーゴールで延長戦制した遠野が5連覇達成!盛岡商は6年ぶりの出場ならず:岩手

このエントリーをはてなブックマークに追加

「5」連覇のポーズを作って喜ぶ遠野イレブン

[11.5 選手権岩手県予選決勝 遠野高 3-2 盛岡商高 いわスタ]

 第96回全国高校サッカー選手権岩手県予選決勝が5日に行われ、遠野高盛岡商高に延長戦の末3-2で勝利し、5年連続27回目の全国出場を決めた。長らく選手権から遠ざかっていた盛岡商は6年ぶりの優勝を目指したが、今回も全国への切符を勝ち取れなかった。

 前半の立ち上がりは縦に速い攻撃を武器とする盛岡商が優位に試合を進めた。11分、MF佐藤蔵人(3年)がサイドチェンジのボールを左サイドに出すと、この日左サイドハーフに入ったFW添田裕也(3年)がフリーでボールを受け、ゴール前までドリブルで切り込む。そのまま添田が落ち着いてGKとの1対1を制し、盛岡商が先制した。

 その後は遠野も落ち着きを取り戻し、決定機を作れるようになった。迎えた前半38分に盛岡商のDFとGKがロングボールの処理を誤り、ボールは「ミスがあるかもしれないので一か八か行きました」という遠野FW阿部亮太(3年)の下へ。阿部はGKを抜き去って無人のゴールに力強くシュートを叩き込み、同点に追いついた。

 このまま1-1で前半終了かと思われたが、盛岡商はアディショナルタイム1分、DF上田有聖(2年)のロングボールを受けたFW藤原史也(3年)がゴール前に侵入して勝ち越しゴール。リードして前半を終えた。

 しかし、4年連続選手権に出場し、この代は新人大会・インターハイ予選・プリンスリーグ東北で盛岡商に無敗の遠野は落ち着いていた。「盛岡商に先制されるのはいつものこと。プリンスリーグ東北開幕戦も先制されましたが、逆転できました」とMF立花健斗(2年)は今年の対戦時もよくあるシチュエーションだったことから、後半勝負を見据えていた。

 長谷川仁監督も「中盤でボールが収まらなかったので、4-4-2から4-1-4-1にフォーメーションを変えました」と後半頭からFW中野友佑輝(2年)に代えてMF佐々木秀真(3年)を投入し、中盤を落ち着かせる選手交代を行うと、遠野本来のパスワークが戻ってきた。

 それでも積極的に縦突破を仕掛ける盛岡商は後半23分、1ゴールの添田が左サイドからボールを受けて再び鋭いシュートを放つが、これがクロスバーを叩いた。直後の24分、奪ったボールをつないだ遠野は、盛岡商に生まれた隙を見逃さなかった。佐々木秀のパスを左サイドハーフのMF佐々木渓人(3年)が受けてクロス。ゴール前に上がっていたボランチのMF太田竜雅(2年)がヘディングシュートを決めて、遠野が同点に追いついた。

 その後は「阿部が足を傷めたこともあり4-4-2に戻した」。左足もも裏を傷めた阿部をサポートするため、ボランチのMF佐藤莉楓(3年)に代えてFW鈴木智大(3年)を投入し、バランスを修正しつつゴールを狙った。だが、盛岡商も粘りを見せ、2-2のまま試合は延長戦に突入した。

 延長戦は互いにチャンスを作る中、決定機を決めきったのは遠野だった。延長後半2分、右サイドでボールを受けた立花が、「中盤からボールが来て、相手が寄ってこなかったので前を向いたら、縦に行けそうにはなかったので、シュートを打つ選択をしました」と左足を振り抜くと、これがゴール左上隅に突き刺さるスーパーゴールとなった。逆転に成功した遠野は、盛岡商の反撃を冷静にはね返し、3-2で試合終了。遠野が5連覇達成と共に新人大会・インハイ予選・選手権の岩手県3冠を達成し、岩手県の“王者”となった。

 長谷川監督は「攻撃のチームだが、失点も多いチームなので全国大会までに改善したい」と反省しながらも「2トップも3トップもやっているので攻撃のバリエーションはあります」。パスをつないで相手を崩す攻撃には自信を持っていた。チームの目標は前回大会のベスト16を越えるベスト8。「昨年のベスト16を絶対に越えたい」と決勝点の立花も意気込む。全国の舞台でも自慢の攻撃サッカーを展開したい。

 一方、6年ぶりの選手権出場を逃しただけでなく、遠野に県3冠を許す悔しい結果に終わった盛岡商。太田浩史監督は「何度もあった決定機を決めきれないといけません。緊張感のある試合で冷静にプレーできるチームにしていきたいです」。遠野に勝ち、再び全国の舞台に登りつめるためには、大舞台でもしたたかに戦えるチームにならなければならない。

(取材・文 小林健志)
●【特設】高校選手権2017

TOP