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[MOM2334]京都橘MF土井翔太(3年)_「チームの助けに」の期待に応え、左足で決勝点もたらす

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京都橘高MF土井翔太は決勝点をもたらした

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.18 選手権京都府予選決勝 京都橘高 1-0 久御山高 西京極陸上]

 京都橘高を全国へと導くゴールは、この男の左足から生まれた。後半10分、右CKのキッカーを務めるのはMF土井翔太(3年)。ゴールへ向かっていく軌道を描いたボールは、二アサイドで飛んだ長身DF松下廉(3年)と相手GKを抜けて、ゴール中央に立つ相手選手の足元へ。その選手がクリアし切れなかったボールがラインを割って、ゴールが認められた。相手GKに上背がないこと、久御山高のセットプレーの守備に隙があることを見越した上での「(松下)廉が先に触れる、もしくはゴールに直接向かっていくボールを蹴った」(土井)というキックは見事だった。

 前半から土井のプレーには可能性が感じられた。セットプレーでは正確な左足で惜しい場面を作り出し、流れの中でも24分の決定機は左サイドから中央へとドリブルで切れ込んだプレーが発端となってシュートシーンにつながっている。

「相手の数が多くてパスを出しづらかったのと、自分で仕掛ければ相手が嫌がっていたので、前に仕掛けることは意識していました」という判断だが、ここに彼の成長が感じられる。1年生の頃は下級生チームの中でボールをさばく技術や攻撃時の動きには光るものがあったが、一方で球際の強さが身についておらず、1対1の局面や運動量や守備時の動きはまだまだだった。

 2年生になりトップチームで出場機会を重ねていくと、全国の舞台も経験する中でたくましさを増していく。「フィジカル面や走ることの大切さを学んでいった。今年は自分がやらないといけないという思いもあるし、(攻守の)1対1では絶対に負けたくないという気持ちもプレーに出せているのかな」と自身の変化を感じている。

 チームにおける役割では、大会中に変化があった。左サイドでコンビを組んでいたDF河合航希(3年)が4回戦で負傷。「河合がボールを持つことが攻撃の形になっていた」というキーマンの離脱は、土井のプレーにも影響を与えている。「以前はパスを受ける側に回って、そこからドリブルやパスやクロスを仕掛けていた。それが河合がいなくなってからは、どうやって自分が関わる中で攻撃を構築していくのかを考えるようになった」と話すように、時には低い位置まで下がってゲームメイクに関わる回数が増えた。

 また、左SBには河合とは違う攻撃的な特徴を持つ高木大輝(1年)が抜擢されており、彼と共に左サイドから推進力を発揮したい狙いも託されている。準決勝の福知山成美高戦では5点中、3点が左サイドから生まれた。米澤一成監督も「選手は(新しい組み合わせの中で)よくやってくれた」と評価している。土井も「米澤先生からは『苦しい場面でセットプレーをものにしてチームの助けになって欲しい』と言われていました。今日はFKやCKが多かったので、一度でも合えばと思って蹴っていた。いい結果を出せて嬉しい」と表情を緩めた。

 全国への切符をつかんだことで、全国大会まで1か月半ほどの時間が生まれた。チームとしての躍進はもちろん、自身の成長も口にしている。「セットプレーやクロスの精度を上げたいし、1対1の局面でも勝てる選手になりたい」。限られた期間の中でも、理想とする選手像へ少しでも近づいてみせる。

(取材・文 雨堤俊祐)
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