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ロングスローで脅威も無得点で敗退…星稜DF中川真太朗「1点が遠くて悔しい」

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強力なロングスローを配給した星稜高DF中川真太朗(3年)

[1.2 全国高校選手権2回戦 明秀日立高1-0星稜高 オリプリ]

 後半アディショナルタイム、星稜高側応援スタンドから「星稜コンバット」が鳴り響く。普段は得点を奪った時に演奏される応援歌だが、この日は1点ビハインドを追いかけるチームを後押しする意味合い。そんな想いのこもった激励を受けたイレブンは、DF中川真太朗(3年)のロングスローを中心に、最後の攻撃に打って出た。

「ロングスローでは、相手のゴール前まで攻めることができた」。“豪腕”の中川がそう振り返ったように、この日の星稜の攻撃で最も脅威となっていたのはスローインだった。キックオフから後半40分まで、投じられたロングスローの本数は6本。時にはゴール前で触れれば得点になるであろう軌道、時にはニアサイドで変化を付けられる軌道と、バリエーションのある飛び道具を繰り出し続けた。

 ところが、「二重、三重に壁を作り、シュートを打ててもブロックされる」(河崎護監督)という明秀日立高の守備陣を前に、得点を奪うことができない。前半のシュート数は1本、後半は3本と満足のいく攻撃を繰り広げられないまま、時計の針は2度目の“40分”を指し示した。

 それでも終了間際、DF敷田唯主将(3年)らを前線に上げてパワープレーに出ると、星稜はさらに攻勢を強めていく。後半アディショナルタイム2分、中川が7本目のロングスローを投じ、相手DFのクリアボールを再び中川が拾ってシュート。「シュートの貪欲さが足りなかった」と指摘する背番号3がチームに勢いをつける。

 すると同3分、MF高岸憲伸(3年)の左CKに反応したMF南出直人(3年)がヘディングシュート。同4分には、8本目のロングスローがPA内右にこぼれ、MF長田大樹(3年)が右足で狙った。ところが、いずれもGK藤田陽輔(3年)がファインセーブを見せ、あと一歩のところでスコアを動かせず。「流れは来ていて、時間もあったが、そこで点が取れなかった」(河崎監督)という状況のまま、タイムアップのホイッスルを迎えてしまった。

「昨年は出場を逃してしまい、1年生で選手権を経験していたのは敷田だけだった。初めてのチームじゃないにしても、ほとんどの選手は未経験。そう簡単に負けないという思いだったが、相手が一枚上でした」。3年前に全国優勝に導いた指揮官は、2試合目での敗戦を悔しそうに振り返った。

 また、「ロングスローとセットプレーはチャンスだったが、相手のほうが空中戦にたけていた」と持ち味でも及ばなかったと指摘。そこでチャンスをつくった中川も口をそろえ、「序盤の失点をみんなで切り替えてやろうとした。チャンスはつくることができたが、1点が遠くてとても悔しい」とまぶたを赤くしていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 竹内達也)

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