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[MOM2654]星稜MF有馬大勢(3年)_悔しさバネに“ゴール感覚を持った11番”が途中出場V弾

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途中出場で決勝点をマークしたMF有馬大勢(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.27 選手権石川県予選準決勝 星稜高 1-0遊学館高 金沢市民サッカー場]

 インターハイでは10番を背負いながらも、今回の選手権予選では股関節を痛めている影響もあり、これまでの出場は試合途中がほとんど。悔しい気持ちを持ちながらも、「チームを救わないといけないと思っていた」と話す星稜高MF有馬大勢(3年)がチームを勝利に導く一撃を叩き込んだ。

 有馬が準決勝までと同様にこの日もベンチスタートとなった理由を河崎護監督はこう話す。「雨で芝生が重馬場だったので、後半になると相手は体力を消耗し、後半勝負だと思っていた。川本を前半から行くのか、有馬を前半から行くのか悩んでスタッフと話したら、有馬が後半からが良いんじゃないかとなった」。

 出番を得たのは、スコアレスで迎えた後半8分。「相手やチームの様子を見て、どこが足りてないかを監督が教えてくれる。それに合わせて、自分が良いプレーを出来れば、チームに勢いがつく」。そう振り返る有馬は右MFとして投入されると、持ち前のドリブルでサイドから攻撃を牽引した。

 最大の見せ場が訪れたのは後半27分。MF麻生季人(3年)とのパスを左サイドで受けたMF川本虎太郎(1年)がドリブルを仕掛けると、有馬は「練習から何度かあの形をやっていて、(川本が)あそこでボールを持ったら入ってくるだろうなと感覚的に飛び込んだ」と右から中央に移動。ゴール前に素早く入った低いクロスを右足で合わせて、ゴールネットを揺らした。

「有馬がよくあそこに飛び込んでくれた。飛び込めたのは、後半から試合に出て点を獲りたいという気持ちが出たから。彼はゴール感覚を持った選手。あれが他の選手ならボールを見てしまっていたと思う」。指揮官がそう称える一撃によって均衡を崩した星稜は、そのまま逃げ切り決勝進出を決めた。

 昨年の選手権予選でも出場機会を手にしていたが、選手権直前の御殿場合宿で、右足第五中足骨を負傷。出場機会を掴めなかった。「1年間頑張ってきたのに最後の最後で地獄を見た。どん底まで落とされた気分でした」と振り返る悪夢を断ち切るため、今年はこれまで以上に努力を重ねてきた。その結果、今年は副キャプテンに就任。インターハイでは10番を背負い、全国のピッチに立ったが、選手権予選での背番号は11番となった。

 ただ、「11番になって悔しい想いがあったので、選手権で見返してやろうと思っていた」と振り返るように、簡単には腐らない。自己中心的だったプレースタイルを見直し、チームのためになる献身的なプレーを心がけるようになった。与えられた出番できっちり結果を残した、この日の活躍はそうした心境の変化による賜物かもしれない。

「ここから決勝に向けて準備して、決勝でも結果を残したい。選手権は良い思い出がないので、チームに貢献して自分の中のイメージを変えたい」。そう意気込むように、怪我と背番号変更を乗り越えた有馬の反撃は、ここからまだ続くはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2018

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