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あと一歩だった選手権…「悔しさしかなかった」悲劇乗り越え、綾羽2年生松本主将が掲げた目標

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ピッチ上で話し合う綾羽守備陣

[11.17 選手権滋賀県予選決勝 草津東高2-1(延長)綾羽高 布引]

 手中に収めたかに見えた選手権切符は、するりと逃げていった。前半のうちに先制に成功した綾羽高は後半、守備の圧力を強めながら攻撃を繰り出し、1-0のまま後半アディショナルタイムに突入した。

 うまく時間を使って逃げ切るかと思われたが、最後にCKを与え、痛恨の同点弾を献上。2年生キャプテンのMF松本斎は「自分たちで正しい判断ができなくて、時間を有効に使えなかった」と声を落とした。後半アディショナルタイム4分、インターハイ県予選決勝で決勝点を献上したMF森稜真(3年)にまたも決められる悲劇だった。

「ほとんど自分たちが押し込んでいる中で、インターハイと同じ相手に最後の最後に決められて、そのまま延長で負けて…。悔しさしかなかった」。掴みかけていた分、ダメージは重くのしかかった。延長戦では草津東に勢いで上回られて2点目を与え、そのまま逆転負け。試合終了を告げる笛が鳴った瞬間、松本はピッチに崩れ落ち、悔しさを露わにした。

「2点目を取られた時に自分たちのショックが大きくて、足は疲れてはいなかったけど、心のところでちょっと崩れたのかもしれません」。ボランチの松本は相手に警戒される中でも中盤で鋭くプレッシャーをかけ、サイド攻撃につながるパスを少ないタッチで配給。タフなプレーで牽引したが、「キャプテンとして、チームを最後まで鼓舞する力が足りなくて負けてしまったと責任を感じる」と自身を責めた。

 副キャプテンの3年生CB浦山昂泰にとってはこれが最後の試合となり、「ふがいないです」とうなだれた。序盤から相手のクロスを跳ね返し、エースFW渡邉颯太(2年)を無得点に抑えたが、「普段から細かい部分にこだわってきたのに後半ラストで…」と反省。大学でもサッカーを続ける浦山は「センターバックを続ける上でいい経験になったと言えるようにしたい」と自分に言い聞かせるように話した。

 4バックは浦山以外のDF森風樹、DF大田烈、DF山口祐が2年生だったが、浦山は「頼もしかった。あの3人なら心配ない」と太鼓判を押す。2年生キャプテン松本にも「アイツが一番声を出していた」と信頼を口にすると、「松本だけに頼らず、お互いが嫌われる勇気を持って言い合える関係を築いてほしい」と下級生にエールを送った。

 ここから立ち上がり、悲劇は繰り返さない。最高学年になる松本は「新人戦、インターハイ、県リーグも含めて全部てっぺんをとりたい」と目標を掲げると、「そのためにはチーム全体の底上げが大事」と気合を入れ直した。新チームでは改めて練習から意識を高く持ち、基礎の質を求め、選手同士で意見を出し合い、全国への道を切り拓くつもりだ。

(取材・文 佐藤亜希子)
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