beacon

“上手いけど、勝負弱い”払拭へ…帝京大可児が勝負所で2発!大垣日大高を下してV王手:岐阜

このエントリーをはてなブックマークに追加

帝京大可児が2年ぶり選手権出場に王手

[11.2 選手権予選準決勝 帝京大可児2-0大垣日大高 長良川メドウ]

 第98回全国高校サッカー選手権岐阜県予選準決勝が2日に行われ、第1試合で帝京大可児高と大垣日大高が対戦。前後半に1点ずつ奪った帝京大可児が2-0で勝利し、9日に行われる各務原高との決勝へと駒を進めた。

 目指すのは上手いチームではなく、強いチーム。帝京大可児が苦しみながらも、力強さを発揮し、2年ぶりの選手権出場に王手をかけた。主将のDF神戸政宗(3年)が「自分たちのサッカーが完全に出来たわけではないけど、意識していた崩しの部分はちょっと出せた」と振り返るように、前半から帝京大可児がチームカラーであるテクニカルな崩しによって相手を押し込んだ。

 帝京大可児は序盤、中央でのボールロストからカウンターを受けるリスクを避けるため、後方でのボール回しから左サイドのMF渡邊寿樹也(3年)の突破を積極的に活用。DF前川文哉(3年)とDF水野宙生(2年)が機を見て交えるサイドチェンジも効果的に機能し、サイドから見せ場を作った。

 だが、大垣日大高は「相手は両サイドが速くてビュンビュン仕掛けてくる。外を切って、インサイドに入れさせてから獲ってやろうと思っていた」(古田翔平監督)とボールの奪い所を中央に設定。指揮官が「身長は無いけどシュートストップや思い切りの良さが彼のストロングポイント。一番信頼している選手の一人」と信頼を寄せるGK大場裕貴(2年)の好セーブや、MF堀凱登(1年)のセカンドボール回収で得点を与えなかった。

「昨年は選手権、インターハイ共に予選のベスト8止まり。独特の空気を知らない選手ばかりの中でもチャンスは作れたけど、決めきれなかった」と仲井監督が反省を口にした帝京大可児だったが、焦れずに攻め続けると、前半39分には右サイドでスローインを獲得。神戸がゴール前にロングスローを放り込み、混戦からMF遠藤颯(2年)が流したボールをMF横井内壮(3年)が落ち着いてシュートを叩き込み、均衡を崩した。

 後半も帝京大可児のペースで試合が進むと、後半8分には遠藤の縦パスからFW松下人樹(2年)がゴール前に侵入。GKを引き寄せ、MF関根空(3年)ががら空きとなったゴールを狙ったが、ゴールカバーに入ったDF須田泰生(3年)がクリア。以降も交代カードを切ってフレッシュな選手を入れながら大垣日大高のゴールに迫ると、31分に途中出場のMF三品直哉(1年)が強引なカットインから放った一撃が決まり、2-0で試合を終えた。

 夏のインターハイでは2回戦で徳島市立高と対戦。ゲームの主導権を握りながらも、相手のゴールネットを揺らせずPK戦で涙を飲んだ。選手権予選でも”打倒・帝京大可児”を合言葉に相手が守備を固めてくることが想定されたため、夏以降は「強引にでも良いから点を獲ること」(神戸)を意識していた。

「上手く行かない時でも勝ち切る」(仲井監督)ため、1点目のようなロングスローなど飛び道具も準備してきたのも、「上手いけど勝負弱い」との呼び声を変えるためだ。神戸が「あと1つ勝たなければ意味がない。残り1週間しかないけど、練習から厳しく取り組んで決勝も勝ちたい」と口にする通り、決勝でも貪欲に白星を掴み、“強い帝京大可児”の姿を見せつける。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

TOP