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決勝初進出の健大高崎は0-1惜敗。力磨いて、「強くさせてもらっている」王者・前橋育英超えへ

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健大高崎高の歴史を変えたイレブン。3年生は後輩たちに打倒・前橋育英高と全国初出場を託した

[11.24 選手権群馬県予選決勝 前橋育英高 1-0 健大高崎高 正田スタ]

「3年は全力でやってくれたと思う。2年は物足りない。1年はもっとやれ、と言いました」

 初の決勝進出で初優勝を目指した健大高崎高の篠原利彦監督は試合後のロッカールームで選手たちにそう言葉をかけたという。指揮官が「粘り強く、マジメに、手を抜かずにやれる」と分析するチームは、その言葉通りの戦いを決勝で見せた。これまで敗れたチーム、他に悔しい思いをした選手の思いも背負って立った貴重な舞台。そこで、80分間全力で勝利を目指したが、勝つことはできなかった。

 守備面はファインセーブを連発したGK倉石大夢(3年)の活躍が特に光ったが、他の選手たちもチームの約束事を徹底。インターハイ予選では前橋育英高に一瞬の隙を突かれて失点しただけに、相手に隙を与えないように、切り替え速く、中央を閉じる形で守り続けた。

 また、倉石が「今までの試合もチームみんなで守ってきて、(GKの)自分が最後じゃないと言っているのでカバー入れるということはいつもしっかりと意識をしてやっていました」と説明したように、飛び出したGKの背後をカバーした右SB廣嶋麒輝(2年)がスーパークリアするシーンも。CB今野祥吾主将(3年)やCB有村樹(3年)中心に崩されかけても最後まで諦めずに足を出して、シュートブロックするなど良く守っていた。

 だが、攻撃面では狙いとする攻撃をすることができず。10番MF橋爪悟(3年)がボランチの位置から推進力を持って前に出ていくシーンもあったが、全体的に落ち着いてパスを繋ぐことができず、攻撃回数を増やせなかった。

 篠原監督は「ウチがミスから奪われてピンチになっていた。受けてからの判断で焦りすぎていた。掻い潜る技術を身につけないといけない」。後半25分の失点後は、FW千木良航大(2年)のロングスローなどから何とか1点を奪おうとしたが、試合終盤も相手を押し込むことができない。健闘と言える戦いはしたものの、大きな壁を越えることはできなかった。

 涙のイレブン。倉石は後輩たちへ向けて「(来年は)やっぱり決勝行ってもらって育英を倒して欲しいですし、自分たちが目標としてきた優勝は達成できなかったので、後輩たちには優勝してもらいたいと思います」と期待した。

 篠原監督は前橋育英が98年度に初めて選手権ベスト4入りした際のMFだ。この日は、山田耕介監督と全国を懸けての師弟対決だった。選手時代以上に山田監督から学ぶことが多いという現在。2年前に選手権初優勝を果たした母校は、全国トップレベルの選手層の厚さと実力備えたチームだ。指揮官は「(前橋育英、山田監督に)間違いなく、強くさせてもらっている」というが、それを上回らなければ、全国に出場することはできない。1、2年生たちと一つ一つ課題を改善しながら、より宿敵に近づいて「打倒・育英」を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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