beacon

「抜かれるかもしれないけど…」静岡学園に怯まず挑んだ今治東主将DF大谷一真

このエントリーをはてなブックマークに追加

今治東を最終ラインで支えたDF大谷一真主将(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.3 全国高校選手権3回戦 静岡学園高2-0今治東中等教育学校 駒沢]

 今治東中等教育学校(愛媛)にとって初めての選手権。3回戦で敗れはしたが「すごい楽しい」と谷謙吾監督は胸を張った。選手も同じ気持ちだったようで、主将のDF大谷一真(3年)はくやし涙に暮れながらも、「楽しかったです」と大舞台を振り返った。

 南宇和高、松山工高でも監督として選手権に導いている谷監督は、地元・愛媛県出身だが自身が高校生のときは静岡県の清水東へ越境入学。同級生には元日本代表FW武田修宏らがいる。「(スタジアムに)武田もきてくれましたし、足を運んでくれている同級生もたくさんいる」。かつての仲間たちも見守る前で静岡学園高(静岡)に臨んだ指揮官は、「静岡県代表と選手権で戦うことはひとつの夢でもありました」と、この一戦への思いを明かした。

 試合は開始4分に静岡学園が先制。その後も静岡学園の強烈な2列目、MF松村優太(3年)とMF小山尚紀(3年)の両サイドハーフ、中央のMF浅倉廉(3年)とMF井堀二昭(3年)がドリブルとパスを駆使し、次々と攻撃を繰り出してきた。谷監督は「やられることを想定してやりな」と選手に割り切らせたといい「サイドでやられても最終的に中をしっかり守るということを慌てずやろう」と伝えていた。

 静岡学園の1回戦と2回戦を映像で見ていた主将の大谷には、静岡学園に敗れたチームは「点を取られた後に引いてしまったのでズルズルしてしまった印象」があった。そこで「自分たちはそれでも前からプレッシャーにいこうと。抜かれるかもしれないけど、カバーに入る仲間を信じました」と引かずに立ち向かった。

 結果としては0-2での敗戦となったが、大谷個人としても実りのある大会となった。「1対1やヘディングの競り合いでやれたので、この経験はこの舞台でしかできなかったと思います」と手応えを実感。

 谷監督は攻撃面でも収穫があったという。「多少プレッシャーがかかって状況が悪くても、粘り強くボールを持って、剥がせるところは剥がそう」。前半の中盤以降はパスをつないで、決定的なチャンスをつくるまでに至った。

「成長の通過点になるゲーム」。確かな経験値を得て、今治東の初めての選手権は幕を閉じた。

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2019

TOP