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「チーム全員で戦う」宇都宮短大附、PK戦で古豪退け王者・矢板中央との決勝に挑む:栃木

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歓喜の瞬間を迎えた宇都宮短大附

[11.7 高校選手権栃木県予選準決勝 文星芸大附0-0(PK3-5)宇都宮短大附 栃木グ]

 第99回全国高校サッカー選手権栃木県予選は7日、栃木グリーンスタジアムで準決勝を行い、第2試合は宇都宮短大附高と文星芸大附高が対戦した。スコアレスのまま延長戦でも決着がつかず、PK戦に突入。GK落合奏太(3年)の活躍により、宇都宮短大附がPK5-3で競り勝った。4年ぶりの決勝では初優勝をかけて14日、王者・矢板中央高に挑む。

 サッカー部創設20周年の宇都宮短大附は準々決勝で佐野日大高と対戦し、延長戦でMF大山優馬(3年)が決勝ゴールを挙げ、県新人大会覇者を打ち破った。一方、ノーシードで勝ち上がった古豪・文星芸大附は2002年以来となる4強入りとなった。

 宇都宮短大附は攻守の起点となるMF中村海成(3年)を中心にパスをつないで攻撃を仕掛け、最前線のFW葛西力也(2年)をターゲットにFW吉野隼翔(3年)や大山が絡んでいく形だが、この日は相手の激しいプレッシャーに苦戦。文星芸大附は一人ひとりの速く強烈なプレスが光り、時には複数人がボールホルダーにアプローチして攻撃を寸断した。

 0-0で前半を折り返すと、宇都宮短大附は後半15分、185cmの大型FW貝賀鼓太郎(2年)を投入し、前線に起点を増やして攻撃の圧を強めた。セットプレーにも多くのバリエーションを持つ宇都宮短大附はDF高村颯太(3年)のCKからチャンスを作るが、DF田澤虎之進(3年)らが跳ね返した。

 前半シュート0本だった文星芸大附も後半は押し込んでいく。後半21分にDF高橋大輝(3年)のFKから決定機を迎えると、同23分には田澤がミドルシュート。後半25分にはMF鈴木然(2年)の投入から攻撃が活性化。FW村上来翔(3年)がスルーパスに抜け出すなどゴールに迫ったが、スコアレスで80分を終えた。

 延長前半は宇都宮短大附が攻め立て、延長後半は互いにカウンターを繰り出す展開になったが、主将DF栃木優太(3年)が「切らすな!」と声でチームを引き締める。100分をゴールレスで終え、PK戦に突入。長丁場の戦いとなったが、岩崎陸監督は「こういう展開になることも、PK戦も想定していた。PK戦になったら気持ちが強い方が勝つので選手を信じていました」と振り返った。

 緊張感漂う栃木グリーンスタジアムで、互いに3人目まで全員が成功。先攻の宇都宮短大附はキッカー4人目のコースを読んだGK落合が横っ跳びして両手で弾き出し、咆哮しながら渾身のガッツポーズ。5人目の主将栃木がきっちりと沈め、PK5-3で死闘を制した。

 今年のチームの特色について、ゲームメーカーの中村は「巧い代に比べると技術は足りない部分もあるんですが、自分たちは総合力を大事にしてきた。交代選手が遜色なくプレーしたり、逆に流れを良くしたりできる。チーム全員で戦う、声を出す部分を一丸となってやってきました」と説明する。

 決勝進出を決め、栃木3連覇中、昨年度全国ベスト4の矢板中央に挑む宇都宮短大附。昨年まで3年連続で予選準決勝で対戦し、前回は先制しながらも1-2で逆転負けを喫した。岩崎監督は「17年、18年、19年、矢板中央さんとの距離は少しずつ縮まってきている」と決戦を見据えると、「この試合で自分たちの課題が全て出た。一週間でチーム全体を引き締めて、どれだけ自分たちの経験を生かせるか」と意気込みを語った。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2020

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