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落とし込まれていた複数のパターン。決勝不発も“フットサル流”のセットプレーが山梨学院優勝の一因に

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準決勝・帝京長岡高戦の山梨学院高CB一瀬大寿(右端)のゴールは上手く味方がスペースを作ったことによって生まれたもの(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.11 選手権決勝 山梨学院高 2-2(PK4-2)青森山田高 埼玉]

 決勝こそ得点には結びつかなかったものの、山梨学院高の選手権優勝の一つの要因となったのがセットプレーだ。

 強豪校対決となった米子北高(鳥取)との初戦は、MF新井爽太(3年)の左ロングスローからDF加藤豪太(3年)が頭で決勝ゴール。準々決勝・昌平高(埼玉)戦の決勝点も左FKをCB一瀬大寿(3年)が頭で折り返し、FW久保壮輝(3年)が頭で決めたものだった。

 また、準決勝でも新井のロングスローから一瀬が決めたヘッドが貴重な追加点となっている。攻撃のセットプレー担当となっているのが、就任2年目の藤本豊コーチだ。藤本コーチは山梨学院OBでフットサルのヴォスクオーレ仙台でもプレーした経歴を持つ元Fリーガー。長谷川大監督からの信頼を得て昨年4月から攻撃時のセットプレー担当を任されると、フットサルの動きを取り入れ、プリンスリーグ関東、今大会でもセットプレーからのゴールを生み出している。

 試合中、スタンドの藤本コーチは所定のスカウティングエリアで相手の配置、選手の疲労度などをチェックしてインカム無線機で長谷川監督に報告。そこで最適のパターンを選び、長谷川監督が選手に伝えて実行している。

 チームに落とし込んでいるのは、“フットサル流”のポジション争いする際に背中を使ってブロックする動きや、ブロックしたあとにボールを受けに行く「ブロック&コンティニュー」など7つのパターンの動きとショート、ニア、中央、ファーの使い分け。そして選手の状況判断に任せたフリーというパターンもあるという。ファウルにならない範囲内で相手の視界や動きを遮って味方のスペースを作り出し、ゴールに繋げた。

 特に1回戦、準決勝のセットプレーからのゴールは、“フットサル流”の動きを交えたパターンによって生まれたもの。藤本コーチは「話したことを選手たちが体現してくれている。それが得点に繋がっていることだと思う」と説明する。

 また、長谷川監督は決勝後、スタンドとのやり取り含めて、セットプレーの効果について、「選手の疲れ、状況に応じてセットプレーのパターンを変えたいと思っていた。すごく有効だったと思います」とコメント。セットプレーが話題となった今回の選手権で見せた新たなスタイルも、山梨学院優勝の一因となった。 

(取材・文 吉田太郎)
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