「自分のスピードは埼玉県内のレベルだったら全然通用するというか、自分でも抜けていると感じているので、そこは自分の武器にして選手権も出していきたいです」。MF水野将人(3年=GRAMADO FC出身)は、伝統校・武南高(埼玉)の攻撃に強烈なアクセントを加える快足プレーヤーだ。

　本人も自信を口にするスピードは50m走6秒ジャスト。「今まで(試合で)対峙してきてこの選手に勝てないと思ったことはなくて、自分のスピードだったら絶対に勝てると思いました」。瞬間的な速さでDFの前に体をねじ込み、そのまま抜け出して決定的な仕事をしてのける。

　元々中学時代はSB。その後、SHを経て現在は中盤中央でプレーする。中学時代も速かったという脚力は、坂道ダッシュなどの努力によってより強力な武器となった。加えて、足元の精度、細かな技術、献身性も特長。そのMFへの期待は大きい。

　内野慎一郎監督は「頭も良いし、落ち着きがある。学校の生活は凄く評価できます。マジメさがプレーにも表れている」と称賛。本人は文武両道で頑張ることを目指し、サッカー、学業両方で実行してきた。

　チームから信頼されている水野だが、準優勝した関東大会予選は不満の内容。同じく準優勝したインターハイ予選では自分の持ち味を発揮したものの、ゴール、アシストという結果を出すことができなかった。

「自分が3年生になってからあまり大会で目立った活躍ができていなくて、今回の選手権は自分が目立つプレーをして、決勝でまたリベンジして勝てたらと思います。選手権では、自分の持ち味のスピードはひと目見て分かるくらいに出して、自分のゴールとかアシストとかでチームを勝たせて、まず埼玉県を取れたら良い」。憧れはFWキリアン・ムバッペ(パリSG)という武南のスピードキングが、選手権予選で本領を発揮し、全国舞台に立つ。

(取材・文　吉田太郎)

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