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西原が那覇の沖縄3冠阻止!攻守で圧倒し、夏の雪辱

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西原高MF八幡華修は2得点の活躍

[11.3 選手権沖縄県予選準々決勝 那覇高 1-4 西原高]

 第100回全国高校サッカー選手権沖縄県大会は3日、八重瀬町と金武町で準々決勝4試合が行われ、注目のカードとなった那覇高西原高は、MF八幡華修(3年)の2ゴールを含む計4点をあげた西原が勝利。県三冠に挑んだ那覇はベスト8で涙をのんだ。

 今大会第1シードの那覇は、今年2月の新人戦と5月のインターハイを制覇。過去に那覇西と前原が実現した県内主要大会三冠獲得を念願としていた。しかし全国インターハイ後、進学を目指し180cmの大型ボランチ森田光哉(3年)を含むレギュラー2選手が引退。新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が解除された9月末まで部活動が禁止された影響も相まって、チーム再建にかける時間は限られていた。

 それでも2回戦から登場した今大会は、初戦の沖縄尚学高戦で9-0、続く普天間高戦は4-0と攻守に圧倒。特に主将GK上地悠大(3年)を中心に、源河侑季池間遼俊の両3年生CBが堅守那覇の象徴となり、新人戦決勝の那覇西戦を皮切りに、全試合無失点を記録したインターハイを経て、県内主要大会において8試合連続で完封していた。

 その王者に対抗心を強く燃やしていたのが西原。昨年の選手権では2年生主体のメンバーで那覇西に敗れはしたが準優勝。その経験値は頭ひとつ抜けており、就任5年目の玉城真哉監督のもと、19年の南九州総体以来となる全国出場を目論んでいた。しかし、その機会を絶ったのが那覇であり、石垣島で開催の県インターハイは0-1で敗北。「この負けを経験したからこそ選手たちには譲れない気持ちが生まれたんじゃないかな」と玉城監督は大会前から「どこの山であたっても王者の守備を崩せなければ勝てない」と打倒・那覇を掲げ、「相手よりも運動量で上回り、球際でも勝つ」(玉城監督)サッカーを演じるべく、部活解禁後の約1か月間で徹底的に走り込んだ。

 那覇の三冠か、それとも西原の雪辱か。互いのプライドがぶつかりあった試合は、まず那覇が攻勢に出る。ボールを保持しながら空いたスペースを突いて右から攻めると、MF知念桂史(3年)の右クロスにFW山口虎汰朗(3年)がボックス内でシュート。しかし西原GK仲村太希(3年)がキャッチし、先制点とはならなかった。

 ピンチを脱した西原は、球際激しく即時奪回を狙い再三バイタルエリアに進入。MF山田涼太(3年)の積極シュートでゴールに向かう姿勢を発揮すると、前半12分。ゴール前での混戦からMF宮城聖吾(3年)がネットを揺らし、西原が先制する。

 今大会初めてリードを奪われた那覇だが「リバウンドメンタリティはあると思っていた」と天願匠監督。選手を信頼し巻き返しを図ると前半31分。MF吉野凱(3年)の左クロスをMF大村龍之介(3年)がヘディングでねじ込み、試合を振り出しに戻した。

 しかし、前傾姿勢を維持する西原の圧力に対して那覇は「前へ前へと来るに相手に対してチャレンジアンドカバーが遅れた」(天願監督)と、乱れた守備を修正する間もなく同点から1分後、西原が急所を突く。前半32分、FW座覇駿(3年)が競って落としたボールを八幡が決め再びリードを奪うと、35分にも山田の鋭い左クロスに「練習通り」とダイアゴナルランでニアへ走り込んだ八幡が再び決めて追加点。怒涛の攻撃を見せる西原が2点リードの奪い前半を折り返す。

 後半に入ってからも、運動量を生かしてサイドで数的優位を作りボールを奪いにかかる西原がリズムをつかむと後半3分、シュートのこぼれ球を拾った座覇のクロスに宮城が決め、自身この日2点目。スコアを4-1とした。

 思わぬ展開にも諦めることなくビルドアップから前を向いて追撃体制をとる那覇は、サイドから進入し敵陣へ進入する回数を増やす。対して西原は、守りを固めるのではなくボールを握ることで相手をゴールから遠ざけると、DFラインを裏をとった山田がGKと1対1の場面を演出。さらにFKから八幡が合わせてゴールを狙うがいずれもゴールならず。なおもアディショナルタイムにはDF重田統哉(3年)が左足で直接FKを狙ったがボールはクロスバーに直撃し、結局このままスコアは動かず。攻守で圧倒した西原が夏の雪辱を果たし、ベスト4へと駒を進めた。

 この試合で決勝点を含む2ゴールをあげたFW八幡は「インターハイで那覇に負けたとき、ゴール前でいかにタッチ数を少なくしてシュートが打てるかが課題だった。この試合では全部ワンタッチシュートでのゴールだったので、そこを追求して重ねてきた練習が生きた。自分も絶対に決めてやるという思いだった」ことが明確な結果となり、今後の自信につながる1勝となった。

(取材・文 仲本兼進)
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