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高知が終盤2発で再逆転劇…先制から逆転許すも「まだ時間はある」、悔しい経験生かし2年ぶり全国へ

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高知高が大逆転で全国へ

[11.7 選手権高知県予選決勝 高知高 3-2 明徳義塾高 春野運動公園陸上競技場]

 第100回全国高校サッカー選手権高知県予選の決勝が7日に行われ、高知高明徳義塾高が対戦。MF森紺(1年)の先制点を皮切りに3点を奪った高知が勝利し、2年ぶり17回目の選手権出場を決めた。

 昨年の選手権予選で対戦した際は、先制点を奪いながらも、同点に追いつかれた。延長戦では立て続けに失点を許し、1-4で敗戦。リベンジマッチとなった今回の試合も厳しい展開を予想していたが、「ここまで苦しくなるとは思わなかった」(大坪裕展監督)。ただ、同点に追いつかれ気落ちしてしまった昨年とは違い、今年の選手は最後まで諦めずに戦った結果が勝利へと繋がった。

 この日の試合も、先手を奪ったのは高知だった。前半11分には、MF笹岡翼(3年)のパスを受けた主将のMF松井匠(3年)が勢いよく左サイドを突破。ゴール前に上がったクロスを「松井君がボールを持った瞬間にクロスが上がると思い、走り込んだ」と振り返る森が頭で合わせて、均衡を崩した。幸先の良いスタートを切ってからも、相手の状況に応じて、パスやドリブル、速攻を上手く使い分けた攻撃を披露したが、「明徳さんはロングボールを多用する、自分たちとは真逆のタイプ。途中から、明徳の流れに乗せられて、お互いがロングボールの蹴り合いになった」(笹岡)。

 フィジカルでは明徳義塾が上回るため、競り合いでの勝負になると高知は分が悪い。前半はFW原山元(3年)を目掛けてロングボールを入れる明徳義塾のパワフルな攻撃に仕事をさせる場面が少なかったが、後半は押し込まれる場面が増えた。後半13分には、ハーフウェーライン付近でのコントロールミスをMF佐伯駿輔(3年)に奪われた。そこから前線に展開されると、原山が力強いプレーでタメを作り、DFの背後にスルーパス。走り込んだ佐伯がゴール右隅に流し込んだ。29分には、左サイドで囲まれ失ったボールが自陣に零れた。拾った原山の力強いドリブルで、DF2人がかわされ、2点目を献上した。

 昨年と同じ試合展開となり、高知の選手は同様を隠せない。笹岡は、「正直、1点目はまだ同点だとみんな落ち着いていたのですが、2点目を決められた時は正直みんな相当メンタルに来ていた」と振り返る。だが、今年7月に行ったプリンスリーグの徳島市立高戦では後半のアディショナルタイムに2失点し、引き分けとなっていた。悔しい経験から、1分あれば、2点を奪えるのは身を持って高知の選手は知っている。失点直後には選手を集めた笹岡は、「まだ時間はある。自分達のサッカーが出来ていないけど、前でやろう」と話をしたという。

 ベンチも反撃に動く。34分にはパスに長けたMF川竹智希(3年)とドリブラーのFW大久保天満(1年)を同時投入。すると直後の36分には、入ったばかりの2人が仕事を果たした。36分には左サイド高い位置でボールを持った大久保のタメから、川竹がゴール前にクロス。GKが弾いたボールをFW浪上博嗣(3年)、松井と繋ぎ、最後はDF谷日向太(3年)が豪快に右足シュートを決めた。追いついた勢いで攻め込んだ高知は、後半アディショナルタイム1分過ぎには笹岡の右CKをニアに走り込んだ大久保がヘディングで決めて、勝ち越しに成功。3-2で打ち合いを制した高知が、全国行きの切符を手にした。

 昨年の選手権予選、今年のインターハイ予選ともに準決勝で敗戦。大坪監督は「気持ちでは諦めてはいなかったけど、最後の一歩が出なかったりしたのが課題だった」と振り返る。だが、2度の敗戦を成長の糧にした高知の選手たちは精神的に逞しくなり、今日の試合では最後まで諦めず戦い切った結果が、白星へと繋がった。全国で狙うのは、1986年の第65回大会で記録したチーム最高成績のベスト8を超える成績。チームとしての課題はあるが、今日のように諦めない姿勢を見せることが出来れば、決して夢物語ではない。守備のキーマンであるDF松岡洸成(3年)は「100回大会は特別な大会。強い相手と当たったとしても、自分たちはしっかり準備をして戦うだけ」と意気込みを口にした。

(取材・文 森田将義)
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