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[MOM3670]静岡学園MF菊池柊哉(3年)_「中盤勝負」で存在感。技巧派レフティーから万能ボランチへ

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静岡学園高MF菊池柊哉は中盤で存在感ある動き。勝利に大きく貢献した

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 選手権静岡県予選決勝 藤枝東高 0-2 静岡学園高 エコパ]

 技巧派レフティーから万能型のボランチへ進化したMFが、静岡決勝で輝いた。静岡学園高MF菊池柊哉(3年=静岡学園中出身)は、「今日のポイントは中盤勝負」(川口修監督)と予想された戦いで見事な働き。運動量と予測力を持って相手のパスワークや速攻を遮断したほか、セカンドボールを回収し、自陣深い位置に押し込まれた際もボールを奪い取っていた。

「準決勝、決勝と自分のやらないといけないことはしっかりやろうと思っていて、それはしっかりやれたかなと思います。(今日も)セカンドボールを拾うのはボランチの役目だと思っていましたし、拾える位置にちゃんとポジションを取れていたので、結果的に拾えて良かったかなと思います」

 中盤の攻防が勝敗を分けるキーポイントになることは理解していた。「そこだけは絶対に負けちゃいけないと思っていて、そこで勝てれば戦況もだいぶ変わってくるので、絶対に勝とうと思っていました」。守備の貢献に加え、攻撃面でも速攻やサイド攻撃など色々な局面に顔を出していたレフティーは正確な繋ぎ、展開を変えるパス、そしてシュートに繋がるパスも。これまではコンビを組む徳島内定MF玄理吾(3年)のサポート役という印象だったが、この日は負けない存在感を放って勝利に貢献した。

 川口監督もチーム内での菊池の立ち位置が変わってきていることを明言する。「もう、(玄の引き立て役)じゃないよね。あの子は技術系の選手で、ボールを受けて、捌いて上がっていってという選手が(インターハイで青森)山田にコテンパンにやられて、彼なりに守備のところもやらないといけないと気づいて、凄く菊池が良くなったよね」。本人も変化のきっかけが青森山田高に0-4で敗れたインターハイ準決勝だったことを認める。

「自分も、弱さとか青森山田の時とかに出たので、改善しようと思ったらテクニックだけでなくて、強さとか、運動量とかでカバーできるようにならなければいけなかった」。元々運動量を備えていたが、出し惜しみしていた部分もあった。それが守備の意識を高め、運動量をさらに増加。すると、頭もより働くようになり、読みの精度が上がったのだという。

 以前はMFイニエスタやMFカカの動画を参考にしていたMFは現在、守備のスペシャリストでもあるMFエンゴロ・カンテの動画を見てから試合に臨んでいる。「何をしなければいけない、どこにいかなければいけない、と考えるようになったので、それが結果に繋がったと思います」。これまでよりも多くボールに絡めるようになり、ピッチでの存在感も向上。運動量や切り替えの速さでも勝負できるボランチとして活躍できるようになった。

 東京ヴェルディのジュニアチーム出身。中学進学前に練習参加した静岡学園中に面白さを感じ、受験を経て家族とともに静岡へ移住したという。6年間掛けて磨いたテクニックやインテリジェンスに加え、上で戦うために身に着けた力も武器に選手権へ。「今、上手く行っている切り替えだったり、守備の運動量だったり、攻撃の時も裏へ抜け出してボールを受けたりとか、とにかく走って、チームのために動くところを見せていきたい。青森山田を倒して、優勝したい」。現状に満足するつもりは全く、ない。よりレベルアップして全国大会を迎え、チームが日本一を勝ち取るための力になる。 

(取材・文 吉田太郎)
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