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「ただ、力がない。それに尽きると思います」。0-1敗戦の明秀日立GK谷口璃成は岡山を勝たせる守護神へ

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明秀日立高GK谷口璃成はファジアーノ岡山でチームを勝たせるGKへ

[12.5 選手権茨城県予選決勝 鹿島学園高 1-0 明秀日立高]

 ファジアーノ岡山内定の194cmGK谷口璃成(3年=高松市立勝賀中出身)は、選手権のピッチに立つことができなかった。2年ぶりの選手権出場を目指した明秀日立高は後半、相手ゴール前のシーンを増やしていたが、得点を奪えないまま迎えた32分にロングスローから失点。味方DFが競り合いでクリアし切れず、ゴール至近距離からシュートを決められた。

 GKが止めることは難しいと思われるような一撃。それでも、谷口はその一本を止められなかったことを悔しがる。「みんなが『入ったな』と思ったシュートを止めていくことがこれから自分にとって鍵というか、これからもっと高いステージでやるためにはそういうのを止めなければいけない。周りの人がノーチャンスと思うようなシュートもこれから止めていかないといけないと思っています」。

 この日は前半からゴールを捉えたシュートを一本一本的確な処理。ゴールマウスからスタンドを鼓舞するような動作も見せながら無失点を続けていた。だが、勝負どころでセットプレーの対応ミスやキャッチミス、そして失点。大事な試合で良いパフォーマンスをすることができなかった。何より、チームを勝たせることができなかった。

「本当に自分の力の無さというか、全然まだダメなところしかないなと身に染みて分かったというか……目標の勝たせる選手を達成しているかと言ったら本当に全然達成していない。きょうの試合も全然良くなかった。自分のストロングとかも全然出せなかったし、反省というか、みんなに申し訳ない」。

 谷口は1年時に選手権登録メンバー入り。だが、正GKとなってからの全国大会予選は全て決勝で敗れている。「ただ、力がない。それに尽きると思います」。今大会は準決勝こそ無失点で終えたものの、4試合中3試合で先に得点を奪われている。“力不足”であることを再確認した大器は、危機感も持って誰よりも成長することを目指す。

 恩師の萬場努監督は「伸び率が楽しみというよりは、プロの世界に飛び込むので、それでも失点しないような逞しさとか、そういうものは必要かなと思います。今大会は、準決勝以外全部点を取られているので、それは彼自身の今後の課題として、プロなんだという自覚はもっと持って欲しいと思います」と厳しい言葉でエールを送った。

 谷口は「(選手権でチームを勝たせて期待に応えることが)自分にとっての最大のミッションだったんですけれども、それに応えられなかったので、プロサッカー選手になってから自分がやるべきことをしっかりやって、岡山で活躍して、これから恩返していかないといけない」。今年の明秀日立はこの日、空中戦、攻撃面などで力を見せつけたCB長谷川皓哉(3年)やCB木村海斗(3年) 、MF中沢駿斗(3年)、FW根本琳生(3年)ら攻守に力のある好チームだったが、無念の予選敗退。プロ入りする谷口は仲間の思いも背負ってプロでチームを勝たせる守護神になる。


(取材・文 吉田太郎)
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