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全国で勝つための準備を続け、雨中で名門・秋田商に快勝。明桜が初の秋田連覇

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明桜高が初の秋田2連覇を達成

[10.21 選手権秋田県予選決勝 明桜高 2-0 秋田商高 ソユスタ]

 全国での勝利を目指す明桜が、快勝で初の秋田連覇――。第102回全国高校サッカー選手権秋田県予選決勝が21日、秋田市のソユースタジアムで開催され、2連覇を狙う明桜高と47回目の全国大会出場を目指す秋田商高が対戦。明桜が2-0で勝ち、2年連続6回目の全国大会出場を決めた。

 3年連続同カードとなった秋田ファイナル。前日から続く雨が、さらに強さを増していた。その中で、明桜が入りで相手を上回る。原美彦監督は「前半で勝負つけるくらいの気持ちで、120パーセントで圧倒しろ」と送り出したというが、入りの良い秋田商を逆に立ち上がりから飲み込み、先制点を奪った。

 前半4分、GK川村晃生主将(3年)のロングフィードのこぼれを拾った10番FW臼田成那(3年)が左足シュート。DFに当たったこぼれ球がGK前の水たまりで止まり、MF廣森輝星(2年)が右足で先制点を押し込んだ。

 その後も明桜は、前線の強力FW臼田を活用。DF背後を狙ってボールを入れ、臼田が起点を作った。秋田商は水を多く含んだピッチに苦戦。クリアもままならず、守勢の展開になってしまう。それでも、MF石田聖真(3年)らがシュートブロックを連発。DF佐藤星空(3年)やDF木内翼主将(3年)のカバーリングによって1点差を維持する。

 だが、前から相手に圧力を掛ける明桜はMF中山煌斗(3年)やMF外山蓮(3年)が前向きにボールを奪い、臼田が前半だけでシュート4本を放つなど攻め続けて追加点を奪った。前半36分、右CKを獲得すると、中山がそれまでの右足から左足キックへ変更。前日に急遽練習して採用したという左足CKが、GKの頭上を超えてそのままゴールイン。2-0となった。

 明桜の前半のシュート数は10-0。ほとんど自陣にも相手を寄せ付けなかった。秋田商は、小林克監督が「(雨対策含めて)準備のところで差がありましたね。(思うようにボールを繋げず、2点ビハインドだったが)ハーフタイムは何とか持ち直して行こうという雰囲気になっていました」と振り返る。1点を取り返すことができれば、まだまだ射程圏内。後半はエースFW泉海斗(3年)が幾度か前を向く回数を増やし、DF背後を突く攻撃を見せていた。

 長身MF太田惇晴(2年)、技巧派のMF後藤楓太(3年)、10番MF長谷川悠真(3年)をピッチへ送り出し、後藤がシュートへ持ち込むシーンもあった。だが、GK川村が守備範囲広く守るなど明桜の守りは堅く、隙を見せない。後半も相手をシュート1本に封じた明桜が2-0で快勝。全国切符を勝ち取った。

 雨中の難しいコンディションだったが、明桜は走る、競る、拾うという部分で難敵を上回る戦い。原監督は「全国で勝ちたいのであれば基本のところをしっかりとやろうと。まずそこをやらないと全国では勝てないよという話をしていたので。去年、(選手権初戦で)飯塚高校に負けた後にそういう部分を今日に掛けて、1勝するために年間計画立てながら取り組んできた成果」と頷いた。

 今年から朝練習での筋力トレーニングを採用。“個で負けない”ために1対1も強化してきた。今年はグループでの崩しも特長とするが、指揮官は「(まず)当たり前のことを当たり前にやろうと。基本を彼らが理解してやってくれた」。球際の強度や切り替え、運動量、ゴール前の攻防といった勝つために大事なことを選手たちが理解し、身につけて来たことが悪天候の中での快勝に結びついた。

 原監督は「まとまりが凄くありますね。僕が何も言わなくても察知する力がある。彼らが自主的にコミュニケーションをとって自主的に改善するので」というように、保護者を含めたまとまりの良さや察知力も今年の世代の特長。意識ベースの高さも強みとするチームだが、明桜としての全国初白星(秋田経法大付高時代にインターハイで勝利を経験)を勝ち取るためにはまだやらなければならないことがある。

 川村は「県内のレベルで満足していたら絶対に全国で勝てないと思いますし、その中でも今日の後半、何度も隙を作ってしまった部分があったので、そこをもっと突き詰めて、全国で勝つためにもっとやっていかないといけない」と力を込め、原監督は「もう少し、個人のベースのところを上げていかないといけない。2か月間成長する時間があるので、学校のことや日常生活もしっかりやりながら全国大会に向かっていきたい」。昨夏は履正社高(大阪)、同冬は飯塚高(福岡)、今夏は帝京長岡高(長崎)と強豪との対戦となり、敗れているが、これらのチームを上回る力をつけなければ全国大会で勝つことはできない。初の連覇の喜びから切り替え、また全国で勝つための準備を続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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