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[選手権]狙いとする攻撃も表現した帝京長岡が北越を4-2で撃破。目標達成のための課題改善も誓う

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後半33分、帝京長岡高は交代出場のFW野村塁生が右足シュートを叩き込み、4-2

[11.3 選手権新潟県予選準決勝 帝京長岡高 4-2 北越高 五十公野公園陸上競技場]

 3日、 第102回全国高校サッカー選手権新潟県予選準決勝が新発田市の五十公野公園陸上競技場で行われた。第1試合は帝京長岡高が4-2で北越高に勝利。帝京長岡は2年ぶりの優勝を懸け、12日の決勝で開志学園JSC高と戦う。

 選手権日本一とプレミアリーグ昇格を狙う帝京長岡が、前回大会で涙を呑んだ準決勝を突破した。前半、風上に立った帝京長岡が押し込もうとするが、北越も高橋ツインズの兄、FW高橋航輝(3年)がDFと競り合いながらでも前に出る力を発揮。DF背後を狙った攻撃で対抗する。

 だが、帝京長岡は左SB内山開翔(3年)やCB高萩優太(3年)がガツガツとボールを奪いに行くなど、簡単には攻め切ることを許さない。逆に狙いとする形からチャンスを作り、先制に成功する。前半19分、この日右サイドで攻撃参加を連発したSB松岡涼空(3年)がDFのマークを外してクロス。これを逆サイドのMF山村朔冬(3年)がダイレクトで折り返すと、FW新納大吾(2年)が1タッチでゴールへ押し込んだ。

 前からボールを奪いに来る帝京長岡の前に北越はミスが出てピンチを招くシーンが増加。ゲーム主将CB高橋泰輝(3年)のカバーリングなどで凌いでいたが、帝京長岡は24分に追加点を奪う。相手を押し込み、右中間のMF水川昌志(2年)がDFを剥がしてスルーパス。これをMF原壮志(3年)が中央へ折り返すと、ボランチの位置から飛び出したMF橋本燦(3年)がスライディングシュートでゴールを破った。

 谷口哲朗総監督が「取り方としても理想的な形ですし、複数人が長い距離を動いての得点でした」と評し、山村も「ずっとああいう形のシュート練習をやってきているので、ああいう形で取れたのは良かった」と頷いた会心の2得点。だが、ここで隙を見せてしまう。

 28分、北越は左サイドから仕掛け、MF久住晴人(3年)がラストパス。ファーから走り込んだMF岩崎大翔(2年)が1タッチで決め、1点差とした。再び攻勢に出た帝京長岡は高い位置へボールを運び、そこからFW堀颯汰主将(3年)や原がドリブル、コンビネーションで打開。また、橋本が運動量を増やして高い位置で崩しに係わっていく。

 加えて、一際技巧の光る山村が自由にポジションを取りながらボールに係わり、視野の広さを発揮。後半立ち上がりには山村の絶妙な対角のパスから原がクロスへ持ち込み、9分にも山村のスルーパスで堀が抜け出す。だが、いずれも決め切ることができない。逆に、後半開始から技巧派ボランチMF佐藤颯士(3年)を投入して繋ぐ姿勢を強めた北越に追いつかれてしまう。

 14分、北越は高橋泰の縦パスから、この日存在感のある動きを見せていた左SB剣持優平(3年)がクロス。これを左中間で収めた高橋航がマークを受けたまま強引に右足を振り抜く。強烈な一撃がゴール左へ決まり、2-2となった。

 2-0から追いつかれた帝京長岡は18分、左サイドから崩し、FW野村塁生(3年)と堀が連続シュート。だが、北越GK玉木暖(3年)が執念の守りでゴールからかき出す。帝京長岡は3点目を奪えずに苦しい展開に。それでも21分、堀が相手CBとGKのわずかな隙を逃さずにボールを奪い取る。そのままGKをかわし、左足シュートをゴールへ流し込んだ。

 北越はボールを繋ぎ、剣持の仕掛けなどから反撃。だが、荒瀬陽介監督が「覚悟して(下で繋ぐことを)やっているけれど、ミスを減らさないと決定機を作られてしまう」と指摘したように、この日は質を上げ切れない部分もあった。この時間帯も帝京長岡にボールを奪われ、ゴールへ向かう動きを連発する野村にシュートまで持ち込まれた。

 帝京長岡は33分、野村がドリブルからの右足シュートを決め切り、4-2。終盤は3バックに移行して守りを安定させる。GK小林脩晃(2年)の好守などで相手の反撃を封じる一方、DF池田遼(2年)の攻め上がりなど前への姿勢も継続。帝京長岡が自力の高さを示し、4-2で決勝進出を決めた。

 帝京長岡が求める一つが対応力の強化。どのような相手でも対応し、帝京長岡らしく得点を奪うことはできている。谷口総監督は「個人の良さが出るサッカーができていると思う。守備も同じ楽しく自分たちで考えて発想力を持ってやっていかないといけない」。この日、守備に関しては状況に応じた守りができず、少ないチャンスを決め切られて2失点。堀も「時間を考えて守備のところも練習からコミュニケーションを取ってやっていかないといけないと思っています」と語っていたが、日本一とプレミアリーグ昇格を果たすためには守備の対応力やこの日欠けていた決定力の部分を必ず改善しなければならない。

 ただし、インターハイ2回戦敗退から成長できていることも確か。山村は「夏の遠征で(青森)山田とかともやって強度とかも知れたし、攻撃のところは全然やれたので、結構自信ついて、あとは自分たちを信じてやっていけば絶対にやれると思います」。プリンスリーグ北信越1部も優勝目前。目標に近づいているが、まずは決勝に集中だけだ。「全国で戦える自信はある。まず決勝勝たないといけない」(堀)。必ず勝って、日本一への挑戦権を獲得する。

(取材・文 吉田太郎)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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