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岡山学芸館が全国連覇への“第一関門”を突破!! 玉野光南は決勝で敗れるも1年間の集大成を披露

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昨年度全国王者の岡山学芸館高が3連覇を達成

[11.4 高校選手権岡山県予選決勝 岡山学芸館高 1-0 玉野光南高 シティライトスタジアム]

 第102回全国高校サッカー選手権岡山県予選決勝が11月4日に行われ、昨年度の全国覇者・岡山学芸館高玉野光南高を1-0で下し、3年連続6回目の出場を決めた。

 昨年の全国高校総体(インターハイ)予選決勝と選手権予選決勝、さらに今年のインターハイ予選準決勝と、3大会続けて予選で対戦している両者の一戦。前半は、PK戦で敗れた今年のインターハイ予選も含めて3連敗中で、雪辱に燃える玉野光南が意欲的なプレーを見せる。前線へのロングパスにMF伊原快(3年)、FW鈴木大空(2年)などが鋭く反応。敵陣で試合を進める時間を増やすと、21分には、シュートの前にボールがゴールラインを割ったものの、DF宮後名緒登(2年)のFKからDF宮崎颯真(3年)のヘディングシュートがポストに当たるチャンスを作った。

 だが、これを機に岡山学芸館も攻撃のリズムが良くなり、両サイドからゴールに迫るシーンを増やしていく。27分には右CKをDF平野大樹(3年)がファーサイドからヘッドで折り返したボールを、MF木村奏人(3年)がヘッドで合わせるも左ポスト。さらに、こぼれ球をDF高山隼磨(3年)が右足で狙ったが、玉野光南DF内山陽太(3年)が懸命にブロックしてCKに逃れた。

 そのまま0-0でハーフタイムを迎え、岡山学芸館の高原良明監督は「前半は攻撃が単調で、ウチのサッカーじゃない。しっかり相手を見ながらボールを動かして、侵入していこうと伝えた」と振り返る。チームの狙いであるボールポゼッションを意識することを再確認して後半に入ったが、開始直後の18秒に玉野光南にビッグチャンス。右サイドでMF伊原が相手と競り合いながらボールを奪って折り返し、飛び込んだFW守田尚樹(3年)が左足のアウトサイドで合わせたが、ゴールの上に外れた。

 その後は岡山学芸館のパスワークに落ち着きが出てきて、じわじわと相手ゴールに迫る。しかし、8分にFKのこぼれ球をMF田邉望(3年)が右足ボレーで狙ったチャンスも、カバーしていた玉野光南MF伊原に防がれるなど、なかなか均衡が破れない。

 しかし21分、ついに先制したのは岡山学芸館だった。MF木下瑠己(3年)が左サイドから中央に送ったパスをMF木村が落とし、拾ったMF田口裕真(3年)がエリア内へ。直後に田口が倒れたプレーでは主審の笛は鳴らなかったが、こぼれ球を拾ったMF田邉が相手DFと正対した状態から右足を振り抜く。DFの足に当たったボールが上にはね上がって後方に抜け、玉野光南GK常藤至竜(3年)の頭上を抜けてネットを揺らした。

 先制された玉野光南は反撃に転じ、セットプレーやロングスローでゴールに迫る。だが岡山学芸館も交代出場のFW香西健心(2年)がロングボールをはね返すなど、高さを生かしてチャンスを作らせない。36分にはFKのピンチをしのぐと、セカンドボールにも鋭く反応してカウンター。MF木下が抜け出して完全にフリーとなり、ハーフウェーラインを越えたところで飛び出してきたGK常藤の頭上を狙ったが、左に外れて2点目はならなかった。

 玉野光南は3分と表示された後半アディショナルタイム、DF赤木柾斗(3年)がエリア内にロングスローを投げ入れ、こぼれ球も蹴り込んで混戦状態からゴールをこじ開けようとする。その後に得た右CKからもゴール前の混戦が続き、最後はMF森虹太朗(2年)がエリア外から右足で狙ったが、左に外れて決まらず、そのまま岡山学芸館が逃げ切った。

 玉野光南は、後半に先制したもののラストプレーで追いつかれ、延長を経てPK戦で屈した今年のインターハイ予選準決勝に続く惜敗。やや不運な失点後も気持ちを奮い立たせてゴールを目指したが、わずかに及ばなかった。乙倉健二監督は「本当に気持ちが入っていて、出足も鋭かった。1年間の集大成と言ってもいいハイパフォーマンスの試合をやってくれた」と選手たちのプレーを称賛。「いつも選手には『どんな状況でも一歩前に踏み出す力を、高校サッカーで養おう』と話している。また明日から、前進あるのみです」と捲土重来を誓っていた。

 岡山学芸館は苦しみながらも勝利をつかみ、全国連覇への第一関門を突破した。1月の選手権初制覇の後、現在のチームは2月の新人戦で4位に終わり、プリンスリーグ中国でも序盤は苦しんだ。それでも徐々に調子を上げてインターハイ予選を突破し、プリンスリーグ中国では10チームのうち上位3チームが進出できるプレミアリーグ参入プレーオフへの進出を決めている。

 本番は前回王者として注目され、マークもされるはずだが、高原監督は「そんなに簡単にいくわけがない。とにかく一戦一戦です」と強調。昨年の優勝を経験しているGK平塚仁(3年)も「目標は連覇ですが、前回も目の前の相手に全力を尽くしたから優勝できた。今回も初戦から一戦必勝で勝ち上がりたい」と決意を新たにしていた。

(取材・文 石倉利英) 

●第102回全国高校サッカー選手権特集
石倉利英
Text by 石倉利英

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