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冷静な対応でプレミアリーグ勢の履正社を完封。東海大大阪仰星が4-0で7年ぶりの全国へ:大阪

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堅守・東海大大阪仰星高が4-0で大阪制覇

[11.11 選手権大阪府予選決勝 履正社高 0-4 東海大大阪仰星高 ヨドコウ]

 第102回全国高校サッカー選手権大会の大阪大会決勝が11月11日にヨドコウ桜スタジアムで行われた。激戦区の大阪大会のファイナルまで勝ち上がってきた昨年の優勝校である履正社高と、昨年のベスト16である東海大大阪仰星高が激突した。

 試合開始直後は東海大仰星が攻撃を仕掛け、次第に履正社がボールを保持する時間が増えていく。それに対して、東海大仰星は自陣でブロックを敷いて対抗する。そして22分、東海大仰星はFW中山蓮(3年)の蹴ったFKをエリア内で味方が競ったこぼれ球をFW水永直太朗(3年)が蹴り込んで先制点をあげた。

 履正社もチャンスを作る。24分にMF安羅夕雅(3年)の蹴ったCKのクリアに反応したMF中村成那(3年)が強烈なミドルシュートを放つが、コース上で相手のブロックに弾かれてしまう。32分にはMF倉田竜雅(3年)が左サイドから中央へ切れ込んでシュートを放つが、枠を捉えない。

すると35分、次のゴールはまたしても東海大仰星に訪れる。CKから中山の蹴ったボールは一度はクリアされるが、拾った味方がパスをつないで、最後はMF小林旺誠(3年)が左足でシュート。これが右ポストに当たって、ゴールネットに吸い込まれた。前半は東海大仰星の2点リードで折り返す。

 後半開始間もない1分、東海大仰星は左サイドからのクロスをファーサイドでMF中本昇(3年)が頭で折り返すと、水永がヘッドで押し込んでリードを広げる。反撃に出ようとする相手の出鼻をくじく、大きなゴールだった。

 攻めるしかない履正社は、後半から両サイドハーフにFW木村有麿(2年)とMF桐畑優由介(3年)を投入しており、とくに左サイドの木村はキレのあるドリブルで局面を打開してチャンスを作り出す。4分には敵陣でボールを奪って左サイドへパスを送ると、木村がエリア内深くまで切れ込んだ折り返しを倉田がフリーであわせたが、上手くミートできず枠外へ飛んでいった。20分には攻め上がった右SB森田夢生(3年)のクロスをファーサイドへ走りこんだ木村があわせるが、こちらもミートせず枠をとらえない。

 履正社がチャンスを決めきれないでいると、25分に東海大仰星がトドメの一発を決める。後方からゴール前へ上がったロングボールをクリアしようとジャンプした履正社のDFとGKが衝突し、こぼれ球を拾った水永がハットトリックとなる3点目を決めた。

 履正社は点差が広がっても最後までゴールへの姿勢を見せたが、29分に木村のクロスに走りこんだ桐畑がニアで合せたシュートは枠をとらえず。試合終盤はCB伊藤大成(2年)が足をつったこともあり前線へポジションをあげて、3バックに布陣を変えたが、31分に伊藤が放ったヘッドはバーの上を超え、37分に交代出場したMF宇都宮翔菜太(3年)が放ったミドルシュートは東海大仰星GK森本真幸(3年)のセーブに阻まれた。

 試合は東海大仰星が4-0で履正社を下して、7年ぶりの選手権本大会への出場を決めた。試合後、中務雅之監督は「履正社さんの攻撃陣は個の力があり、アタッキングサードを攻略してくるところに、上手く対応できないところもありましたが、局面で冷静にやれた時間帯が多かったです」とリーグ戦のカテゴリーでは一つ上のプレミアリーグに所属する履正社の攻撃を無失点に抑えた守備について言及した。そして「自分の力を100%信じることをベースに、チームがどれだけ結束できるか、という話を選手たちにはしていました。相手があっての勝負で上手くいかない時間もあったが、正しいコミュニケーションをとれるようアプローチしてきました」と選手たちを評価している。

一方、敗れた履正社の平野直樹監督は「情けない試合をしてしまった。見てくれる人に感動を伝えるような試合にしたかったが、それができなかった。セットプレーも何度も映像も見せて、準備もしてきたが…」と前半に2失点したセットプレーの対応を悔やんだ。緊張感が漂う大一番でビハインドとなったことも精神的に影響したのか、ボールは持てていたが、相手を脅かす攻撃を繰り出すことに苦労した。終盤戦に入ったプレミアリーグでも最下位と苦戦が続くが「状況は非常に厳しいが、熱量を持った選手たちと共に挑みたい」と顔を上げている。

(取材・文 雨堤俊祐)
●第102回全国高校サッカー選手権特集

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