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[選手権]初戦から注目の好カード!前回準V・青森山田と08年度王者・広島皆実がいきなり激突!!

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 第89回全国高校サッカー選手権(12月30日開幕)は22日、東京都の日テレタワーで組み合わせ抽選会を行い、対戦カードが決まった。11年に鹿島アントラーズ入りするMF柴崎岳主将(3年)を擁する昨年度の準優勝校・青森山田(青森)は、初戦となる来年1月2日の2回戦で前々回大会優勝の広島皆実(広島)と激突することになった。

 会場が「オォー」という低い声でどよめいた。昨年準優勝によるシード校として、くじを引くことなくトーナメント表の「48番」の位置に記されていた青森山田の隣の「47番」に、広島皆実の名前が掲げられる。この瞬間、前回準優勝校・青森山田と前々回王者の広島皆実との強豪対決が実現した。

 広島皆実のCB森重瑞紀主将(3年)が「びっくりした」と振り返った青森山田との対戦決定。その青森山田は柴崎をはじめ清水エスパルス入りのGK櫛引政敏(3年)、そして日本高校選抜MF三田尚希(3年)、DF横濱充俊(3年)ら昨年の準優勝メンバーを多数残す優勝候補の一角だ。今夏の全国高校総体こそ初戦で優勝した市立船橋(千葉)に競り負けたが、プリンスリーグ(U-18)東北1部、東北高校選手権でいずれも優勝し、全日本ユース(U-18)選手権でも16強進出とその実力に疑いの余地はない。

 こだわってきたのは「勝利への貪欲さ」。総体での初戦敗退後、青森山田の黒田剛監督は「GKがこぼしても反応する選手もいなければ、負けているのにスライディングしてボールを取ろうとする選手もいない。戦えるチームではない」とこぼしていたが、この日抽選会に出席した柴崎主将は「どんな試合でも勝つという気持ちにさせるためにやってきた。ボク自身も勝つということにこだわってやりたい」と力をこめた。隙のないチームに仕上げてきた。

 ただ「堅守強攻」スタイルで08年度日本一となった広島皆実は侮ることのできない難敵。「一昨年の日本一は自分たちがやったことではない」と冷静で、また柴崎を中心とした相手に個では劣っていると分析するが、それでも森重主将は「まずは精一杯やること。楽しくやること。チームとして力を出し切れば、やりきれれば勝てない相手ではない」としたたかに勝利を狙っている。

 広島皆実は全国王者として臨んだ昨年の広島県大会決勝でPK戦の末に敗れて全国進出を阻まれ、今夏の全国総体予選でも準決勝でPK戦敗退と悔しい思いを重ねてきた。ただその敗戦をバネに力を伸ばしてきた。元日本代表DF森重真人(F東京)の実弟でディフェンスリーダーを務める森重主将を中心に、攻撃陣にもU-19日本代表候補FW大武弘直と香山洸哉(3年)の2トップ、J注目の2年生MF渡大生とタレントも揃う。「相手の攻撃力をリスペクトしているけど、チーム全体の組織力で上にいければ。簡単にはさせたくない。自分たちが優勝するつもりでやっている」

 一昨年の日本一のプレッシャーに苦しみながら全国舞台に返り咲いた広島皆実と昨年あと一歩で手の届かなかった日本一へ闘志を燃やす青森山田。「ボク自身は(昨年の準優勝の喜びよりも)悔しさの方が大きい。国立での忘れ物を取り返そうとチームのために精一杯やってきた。チーム一丸となってやっていくつもり。大会でいいパフォーマンスを出せるように頑張る」と誓う今大会注目選手となるであろう、柴崎主将と青森山田の前に元王者が立ちはだかる。

[写真]初戦から好カード実現! 昨年度準優勝の青森山田・柴崎主将(左)と08年度優勝の広島皆実・森重主将ががっちり握手
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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