[12.31 全国高校選手権1回戦 西武台 3-0 香川西 埼玉]

　第89回全国高校サッカー選手権1回戦が31日に各地で行われた。埼玉県の埼玉スタジアム2002の第1試合では地元埼玉の西武台が香川西(香川)と対戦。今夏の全国高校総体3位の西武台が実力を発揮し、3-0で勝利した。

　前半試合の主導権を握ったのは、2年連続でその年の全国高校総体王者を撃破している香川西だった。香川西がショートパスで相手を崩し、チャンスを作っていったのに対し、どこか硬さが見られた西武台は大宮アルディージャ加入が内定しているエースFW清水慎太郎(3年)へのロングボールに偏った攻めとなってしまい、前半はシュート2本に抑えられてしまった。それでも西武台はGK小澤章人(3年)の攻守もあり、ピンチをしのぎ、0-0で前半を終えた。

　しかし後半に入ると、西武台が多彩な攻撃を見せ始める。まずは4分、西武台は左サイドに開いたボランチMF末松光(3年)のクロスを清水が絶妙なポストプレーで走り込んでいたFW佐々木雅人(3年)の足下へと落とし、佐々木が右足でシュートを決めて西武台が先制した。

　それまでパスサッカーで相手に脅威を与えていた香川西だったが、先制後は西武台に手堅く守られて次第にチャンスが作れなくなり、逆に攻撃陣が躍動し始めた西武台にペースを握られていった。30分に左サイドでFKのチャンスを得た西武台は、末松が直接ゴールに叩き込み試合を決定づける2点目を得た。
　
　さらに37分にはPA内に侵入した佐々木を香川西GK今林宏憲(2年)が止めきれず、得点機会阻止で一発退場。獲得したPKを清水が落ち着いて決めて西武台が3-0で勝利した。

　全国高校総体ベスト4という実績を持つ西武台だが、前半もたついたことについて守屋保監督は「前半ボールに行け、と強く言ってスタートさせてしまい、連動性が全くなくなってしまった。前半ゼロで終わってくれたのが幸運だった。ボランチの末松が前に出過ぎてしまっていたので、ポジションを埋めようということをハーフタイムに伝えて修正できた」とハーフタイムでの戦術修正がうまくいったことを明かした。ハーフタイム以後は中盤と前線が連動した攻撃が見られ、テンポの良いサッカーを展開した。

　3発勝利で好発進したチームだったが、1得点1アシストを挙げ、高いチャンスメイク能力をいかんなく発揮した清水は「(1点目に繋がったポストプレーは)今日のプレーの中で一番良かったが、それ以外は全然ダメ。シュートが少ないのが夏からの課題だったので悔しい」と謙虚に反省。今後のチームの躍進は彼のさらなる活躍にかかっているといえるだろう。

　勝利した西武台は11年1月2日に同会場で九州国際大付(福岡)と対戦する。

(取材・文　小林健志)
(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

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【特設】高校選手権2010