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[MOM520]國學院久我山FW右高静真(3年)_ユース昇格よりも選手権を選んだエース

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.30 全国高校選手権1回戦 國學院久我山2-1東海大五 国立]

 シュートの瞬間は右肩の痛みも忘れていた。「うれしすぎて、覚えてません」。試合直後のヒーローインタビュー。興奮冷めやらぬ表情で決勝点の喜びを口にした國學院久我山のFW右高静真主将(3年)は試合後、右腕を包帯でつった姿でミックスゾーンに現れた。

「もともと左右の両肩がちょっとゆるくて、試合中に外れてはないけど、ちょっとズレて……」。後半20分過ぎ、ベンチからトレーナーが飛び出し、バックスタンド側まで回って右高に状態を確認した。「『どうだ?』って言われたけど、『大丈夫』と答えました」。試合は1-1のこう着状態に入っていた。治療を受けることなく、痛みをこらえ、プレーを続行。そして後半29分、スルーパスに抜け出し、「シュートのときは気にならなかった」と落ち着いて左足で決勝点を奪った。

 横浜FMジュニアユース出身の右高には、横浜FMユースに昇格する選択肢もあったという。それでも、クラブユースではなく、國學院久我山への進学を選んだ。「悩みましたけど、選手権に出たいなと思って、こっちを選びました。どっちがレベルが高いのかは分からないし、どちらにもいいところはあると思う。でも、こっちを選んでよかったと思う」。最終学年でつかんだ選手権への出場権。抽選会では自ら開幕戦を引き当て、あこがれの国立競技場のピッチに立った。

「国立は初めてですけど、関東なら日産とか他のスタジアムではプレーしたこともあるので、緊張はなかった」。先発11人に2年生4人、1年生3人が並ぶ若いメンバーを主将として引っ張り、両チーム最多のシュート6本を放った。「1、2年生が多いので、悪い緊張ではなく、いい緊張に変えられるようにコミュニケーションを取ることを意識した」。試合前の円陣では「今まで自分たちがやってきたことを信じてやり切ろう。それで負けたら自分たちの力が足りなかったということだから」と声をかけた。

 3大会ぶり4度目の出場となる國學院久我山の最高成績はMF田邉草民(F東京)を擁した08年度大会のベスト8。「それを越えれば、もう一度国立でやれる」。3年前の再現、そして同校初のベスト4へ。エースの一撃を弾みに、再び旋風を巻き起こす。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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