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[選手権]近大附が5発大勝、06年度王者・盛岡商は初戦で散る

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[12.31 全国高校選手権1回戦 盛岡商1-5近大附 柏の葉]

 第90回全国高校サッカー選手権は31日、各地で1回戦を行い、柏の葉公園総合競技場では盛岡商(岩手)と近大附(大阪)が対戦した。近大附はFW黄将健(3年)が2得点1アシストを含む4得点に絡む活躍を見せ、5-1と大勝。06年度大会覇者に圧勝し、初戦を突破した。

 初優勝を飾った06年度大会以来、5大会ぶりの出場となった盛岡商はベガルタ仙台加入内定のMF藤村慶太主将(3年)がベンチスタート。それでも、本来は藤村とダブルボランチを組む184cmと長身のMF谷村憲一(2年)が中盤でことごとくセカンドボールを拾い、長短のパスでゲームを組み立てる。FW豊岡勇気(3年)とFW花坂直人(2年)の2トップや左MF佐々木海人(2年)らスピード感あふれる攻撃陣が近大附守備陣をかき乱し、立ち上がりからペースを握った。

 前半13分には谷村のスルーパスから佐々木海が左サイドを突破。ゴール前への折り返しがDFに当たってこぼれたボールを花坂が拾う。シュートはGKに阻まれたが、このプレーでCKを獲得。佐々木海の左CKがGKに弾かれたセカンドボールを豊岡がボレーシュートで狙うも、今度は大きく枠を外れた。

 劣勢の近大附だが、FW刈谷聖哉(3年)、FW黄将健(3年)、FW吉野竜生(1年)の3トップが流動的にポジションを入れ替えながらスピードに乗ったアタックを見せ、反撃のチャンスをうかがう。すると前半18分、左MF荒金照大(3年)のスルーパスから刈谷がPA内左に抜け出し、GKを引き付けてゴール前にクロス。逆サイドから走りこんだ黄が難なく押し込み、先制点を奪った。

「なかなか自分たちのペースでできなかったが、劣勢の中、ワンチャンスで先制点を取れたのが大きかった」と山田稔監督が振り返ったとおり、試合を優位に運んでいた盛岡商の出鼻をくじいた近大附が流れを引き寄せ、一気にたたみかける。前半27分、PA内にドリブルで仕掛けた黄が倒され、PKを獲得。これをDF鈴木崇史主将(3年)が落ち着いてゴール左隅に蹴り込んだ。さらに同30分には黄とワンツーの形で抜け出した刈谷がPA外左45度から左足を振り抜く。ゴール左上隅に突き刺さる豪快なミドルシュートにGKは一歩も動けず、3-0とリードを広げ、前半を折り返した。

 早い時間帯に1点でも返していきたい盛岡商だが、なかなか近大附の3バックをこじ開けられない。後半9分にはMF菅沼佑基(2年)に代えてFW舘澤大樹(3年)を投入。選手を入れ替え、局面の打開を図った。すると後半15分、佐々木海の右CKからMF横澤匠(2年)が右足ボレーで蹴り込み、1-3。ようやく追撃弾を決め、同17分には途中出場したばかりの舘澤を下げ、MF馬場健(2年)をピッチに送り込んだ。

 しかし、近大附は動じない。失点直後の後半19分、右サイドからのFKのチャンス。荒金のキックにファーサイドから飛び込んだDF白井秀典(3年)が豪快なダイビングヘッドを叩き込み、4-1と再び突き放した。追い込まれた盛岡商は後半31分、右SBのDF小林航也に代えてついに藤村を投入。3バックにシステムを変更し、藤村はトップ下に入り、何とか反撃を狙った。

 それでも流れは変わらなかった。近大附は後半35分、速攻から刈谷が左サイドを突破すると、マイナスの折り返しを黄が右足で叩き込み、5-1と試合を決定付けた。黄は得点後、喜んでピッチに滑り込んだ際に左足をつり、そのまま交代。「シュートを打った瞬間につってました」と苦笑いしたが、2得点1アシストにPK獲得と4点を演出し、チームを2回戦に導いた。

 それでも黄は「まだまだ満足していない。仕事はできたけど、改善点はある。ボールを失うシーンもあったし、苦しいときに自分や刈谷が前に推進力を出して、ボールを保持しながら後ろを押し上げられればよかった」と反省の言葉を口にした。5-1の圧勝劇で5大会前の全国王者を一蹴しても、まだまだ通過点。大阪勢では関大一が前々回大会は4強、前回大会は8強と2大会連続でベスト8まで進出している。「いい刺激になっている」と言う黄はさらなる高みを見据えていた。

[写真]後半35分、近大附のFW黄将健がダメ押しの5点目を決める
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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