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[選手権]練習試合での失点が今も記憶に残る市立船橋DF小出、四中工2トップ完封誓う

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 そのスピードは、今も脳裏に焼き付いている。市立船橋(千葉)のDF小出悠太(2年)は9日の全国高校選手権決勝で対戦する四日市中央工(三重)のエースFW浅野拓磨(2年)へのリベンジを誓った。5戦連発中の浅野は同じく四中工のFW田村翔太(2年)と並んで今大会通算6得点で得点ランキングトップに立つ。2人で12得点の2年生2トップに対し、「2年生同士、絶対に負けられない」と、DF種岡岐将(2年)とのCBコンビで完封を狙う。

 鮮烈な印象が残っている。大会直前の御殿場合宿で四中工と練習試合を行い、小出のゴールなどで2-1と勝っているが、「点を取ったのは覚えていない」と言う。逆に記憶に残っているのが浅野に許した1失点。「スピードを生かしたドリブルで突破された。そのときから『あいつは速いな』と話していた」と、自分の得点以上に強烈なインパクトがあった。GK積田景介(3年)も「DFが3枚行ったけど、振り切られて、最後は自分が1対1を決められた」と振り返る。

 今大会に入ってから四中工の試合を見る機会はなかったが、8日の準決勝第1試合で大分(大分)を下した市立船橋の選手たちは後半からスタンドで四中工と尚志(福島)の試合を観戦。小出は「あらためて足が速いなと思った」と警戒を強め、「足は相手のほうが速い。予測して、その前で勝負したい。裏を常に意識して、体を張ることが大事。練習試合で対戦しているのは大きい。明日の試合に役立てたい」とイメージを膨らませた。

 今大会4試合で2失点と安定した守備を誇るが、積田は「総体のころまでは、CBの2人も声は出しているけど、物足りないというか、淡々としているところがあった」と指摘する。11年夏の全国高校総体。市立船橋は2回戦で桐蔭学園(神奈川)と対戦し、PK戦で9人目のキッカーを務めた小出のシュートが外れ、PK7-8で初戦敗退に終わった。

「自分のせいで負けた」と落ち込む小出に対し積田は「お前がやるしかないぞ。いつまでも頼ってたらダメだ」と叱咤激励。悔しさをバネにはい上がってきた。「夏の総体から比べて、守備陣の自覚が出てきたし、体も張れるようになって、自信は出てきた」。そう胸を張る小出と種岡の2年生CBに今では守護神も「選手権の県大会から味方を鼓舞したり、時には怒ったりする姿も見えるようになった。DFラインは本当に成長したと思う」と絶大な信頼を寄せている。

 小出は「3年生とここまで来れたのはうれしいし、最後に優勝させたい。責任を持って、しっかりやりたい。攻撃陣はしっかり点を取ってくれると思うし、自分たちが2トップを抑えて、ゼロに抑えて勝ち切りたい」と言い切った。2年生コンビのマッチアップを制し、四中工の強力2トップを完封する。

(取材・文 西山紘平)

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