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[大学選手権]総理大臣杯とのダブル制覇を目指す阪南大、仙台大を研究し尽くし完勝発進

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[12.19 大学選手権1回戦 仙台大 0-2 阪南大 江戸川]

 江戸川区陸上競技場にて行われた平成24年度 第61回全日本大学サッカー選手権大会1回戦、阪南大(関西1)対仙台大(東北)の一戦は、総理大臣杯全日本大学トーナメント優勝チームで関西学生1部リーグ優勝の阪南大が2-0で完勝し、準々決勝へ駒を進めた。

 この試合、両チーム共にアクシデントを抱えていた。阪南大はボランチとして絶対的な存在だったMF窪田良(3年=東京Vユース)が負傷でベンチにも入らず。一方の仙台大は仙台に加入が内定しているチームキャプテンDF蜂須賀孝治(4年=桐生一高)が15日の練習で右足首を捻挫。精神的支柱である蜂須賀をベンチスタートさせざるを得ない状況となった。

 主力不在の影響を感じさせなかったのは阪南大。阪南大は窪田の代役としてボランチで出場したMF高田祥生(3年=神戸科学技術高)が安定感あるプレーを見せ、窪田の穴を埋めたのに対し、仙台大はゲームキャプテンMF熊谷達也(2年=柏U-18)が「プレッシャーに戸惑った」と語った通り、阪南大の前からのプレスに苦しみ、不用意にボールを失うことが多かった。さらに「相手の9番(蓮沼)と10番(熊谷)を前で潰しに行こう」と阪南大の須佐徹太郎監督が語った通り、攻撃の要であった熊谷とFW蓮沼翔太(1年=柏U-18)が厳しいマークを受け、攻撃を組み立てられなかった。

 かくして前半は阪南大が攻守に圧倒する展開となった。阪南大は7分にMF泉澤仁(3年=新潟ユース)からパスを受けたFW小池恭一(4年=佐賀東高)が左足でシュートを決めて先制。その後の再三のチャンスは仙台大GK古川裕貴(1年=習志野高)のファインセーブに阻まれたが、33分、MF可児壮隆(3年=川崎F U-18)のCKからFW工藤光輝(3年=札幌U-18)のヘディングシュートが決まり2点リードで前半を終えた。

 後半に入ると、仙台大は負傷の蜂須賀を17分に投入。蜂須賀は本来守備的なポジションの選手だが、「ボランチかトップ下かどちらで出るか?とコーチに聞かれ、足首が万全でなくて守備ができるのか不安だったので、前目でやらせて下さいと言った」とトップ下でのプレーを選択。熊谷が「ハチさんが入ってターゲットになってサイドハーフの選手がフリーになった」と語った通り、蜂須賀が前目のポジションに入ったことで、仙台大の攻撃は活性化されチャンスを作れるようになった。最大のチャンスは同41分、熊谷の直接FKの場面だったが、惜しくもボールポストを叩いた。最後まで諦めずに仙台大は戦ったが、阪南大も焦れずに守り切り2-0のまま試合終了。阪南大が準々決勝へ駒を進めた。

「相手は両SBが高い位置を取ってくるので、その裏を突こうと思ったので狙い通り。相手もうまかったが守備陣がよく対応してくれた」と語った阪南大の須佐監督は、ここ数年全国の舞台で結果を出していた仙台大のポゼッションサッカーをしっかり研究していた。

 研究された仙台大は、特に前半混乱に陥った。「仙台大らしいボールを握るサッカーができなかったのが残念。前からプレッシャーが来た時、うちが相手をはがせるか、相手がうちを潰せるか、という紙一重の部分で相手のプレッシャーが早かった。その部分は今後トレーニングをやっていきたい」と瀬川誠コーチは今後への課題を口にした。今後チームを引っ張る立場の熊谷も「2失点して前に蹴るのか繋ぐのか戸惑いがあった。プレッシャーがある中でもポゼッションを徹底してやりたい」と試合を反省し、今後への意欲を語った。最後の大会は負傷で途中出場に終わった蜂須賀は「大学サッカーに悔いはない」と語り、「日々の練習から良い仲間として切磋琢磨して欲しい。関東・関西との差は必ず埋められる」と後輩達へエールを送った。

[写真]前半33分、阪南大の工藤(左から2人目)が2点目のゴール

(取材・文 小林健志)

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