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[大学選手権]順天堂大、日程の不利を覆して福岡大の猛反撃をしのぐ

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[12.11 全日本大学選手権2回戦 順天堂大2-1福岡大 川口]

 冬の大学日本一を決める、第64回全日本大学選手権大会(インカレ)は10日に各地で2回戦を行い、川口市青木町公園陸上競技場で行われた第1試合では、順天堂大(プレーオフ)が2-1で福岡大(九州1)を下した。

 順天堂大は、大阪学院大を3-1で破った1回戦から中1日での連戦。対する福岡大はシードのため、この試合が初戦だった。終盤に猛反撃を受けながら勝ち切った順天堂大の堀池巧監督は「中1日は、あり得ない運営。成績で組み合わせが決まるのは理解できるけど、日程に差をつけるのはフェアじゃない。ただ、選手には、その中でも勝ってこそ力がついたと言えるから証明しよう、言い訳にしてはいけないと言った。最後に厳しくなるのは分かっていたけど、うまくボールをつなぐ判断ができたこともあって、試合運びは良かったと思う」と終盤の苦戦の一因に日程の問題を指摘しながらも、チームの出来には及第点を与えた。

 序盤は、互いに鋭い攻撃を見せた。巧みなパス回しから仕掛ける順天堂大は、8分に左クロスを相手GKがヘディングでクリアしたところをボランチの室伏航(2年=市立船橋高)がミドルシュート。クロスバーを越えたが、隙を逃さない姿勢を見せた。福岡大は、MF川上竜(3年=福岡U-18)がスルーパスを走らせ、前線ではFW田口光樹(4年=九州国際大付高)が思い切りの良い突破やシュートを見せた。

 ほぼ互角の展開の中、先制点は唐突に訪れた。23分、順天堂大はボランチの新里涼(2年=横浜FMユース)がスルーパス。やや長いかと思われたが、FW佐野翼(3年=清水商高)が諦めずに追うと、前に出て来た相手GKと交錯してPKを獲得。判定に驚く福岡大を尻目に、順天堂大は主将で川崎F入団内定のMF長谷川竜也(4年=静岡学園高)がきっちりと決めてゴールを奪った。

 反撃を狙う福岡大は、プレスを強化したが、順天堂大は最終ラインとダブルボランチが巧みに方向を変えて翻ろう。ロングボールも、DF宮本和輝(4年=横浜FMユース)を中心にしっかりと跳ね返して試合のペースを譲らなかった。

 後半も順天堂大のペースで進んだ。福岡大は後半12分に左CKをC大阪入団内定のDF木本恭生(4年=静岡学園高)が頭で合わせるチャンスがあったが、相手GKの好守で同点に追いつくことはできなかった。そして同22分、前がかりになった相手の背後を突いた順天堂大が追加点を奪った。室伏の縦パスで右サイドを抜け出た長谷川がややマイナスの浮き球クロスを送ると、佐野がダイビングヘッドで2試合連続となるゴール。

 立ち上がりは福岡大のMF中村崇修(3年=福岡U-18)にマンマークを受ける形だった長谷川は「相手がマンツーだったので、最初はおとりになってうまく前に刺さるポジションを取って、後ろの選手がやりやすいように考えていた。マンマークじゃなくなってからは、つなぎにも参加できた。相手を見ながらプレーできたと思う。2点目は、抜け出したときに、ニアはコースが消されていて、あそこしか空いていないというところに蹴ったら、うまく合わせてくれた。味方に感謝したい」と試合を振り返った。

 順天堂大は、主導権を握って2点のリードと文句なしの試合運びだったが、終盤はパワープレーに出た福岡大が猛反撃。後半31分、193センチの長身FW門司涼佑(3年=立命館宇治高)のドリブルキープから、こぼれ球をMF中野圭一朗(4年=岡山芳泉高)がシュートを放ったが、惜しくも枠を外れた。

 それでも諦めず、最後はDF木本も前線に上がってパワープレーを強化。終了間際の後半43分、相手のバックパスをさらった中野がループシュートを決めて1点差に追い上げた。しかし、アディショナルタイムに得た右CKでGK永石拓海(2年=高川学園高)もゴール前へ上がった場面を跳ね返されてタイムアップ。順天堂大が2-1で逃げ切った。

 勝った順天堂大は、13日に行われる準々決勝で明治大(関東2)と対戦する。関東リーグ1部で唯一、2敗した相手への雪辱の機会。難敵を迎える形となるが、長谷川は「最後の大会なので、少しでも僕たちの戦う姿を長く見て何かを感じてもらったり、勝ち進むことでチームとして経験を積んだりすることが、順大への恩返しになると思っている。個人的にも、自分は日本一になったことがないので、絶対にタイトルを獲りたい」と撃破を誓った。

(取材・文 平野貴也)
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