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[MOM411]法政大FWディサロ燦シルヴァーノ(2年)_“ラストワンプレー”で結果残した「顔つき変わった」点取り屋

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法政大の最前線で存在感を示したFWディサロ燦シルヴァーノ(2年=三菱養和SCユース)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.7 大学選手権1回戦 法政大6-0高知大 江戸川陸]

 飢えた猛獣のごとくゴールに向かう。法政大の最前線に構えるFWディサロ燦シルヴァーノ(2年=三菱養和SCユース)は圧巻の存在感を示し、得点に絡みに絡んだ。

「トーナメントの初戦で硬くなると思ったので、自分が前で仕掛けてアクションを起こすことで、チームを助けられたらいいと思っていた」。その言葉通り、前半16分に後方から送られたボールに反応してPA内に進入すると、DF山口雅史(3年=長良高)のファウルを誘ってPKを獲得。さらに、このプレーで山口が一発退場となり、法政大は数的優位に立った。

 このPKをDF柳沢拓希(4年=前橋育英高)が沈めて先制に成功すると、前半35分には「何も考えていなかった。フリーだったので出しただけ」と右サイドを駆け上がるMF武藤友樹(3年=八千代高)を見逃さず、鮮やかなパスを届けてチーム2点目をお膳立て。攻撃の手を緩めないチームは後半6分、FW青柳燎汰(2年=前橋育英高)の浮き球のパスをFW鈴木歩(4年=鹿島ユース)がダイビングヘッドで決めてリードを3点差に広げる。

 2点を演出していたディサロだが、自身の得点がなかったことに「焦りはなかったけど、取りたいという思いがすごいあった」。そして後半29分には左サイドを突破したDF永戸勝也(4年=八千代高)のパスから決定機を迎えたものの、「ワントラップして打とうと思ったけど、足が振れなくて空振ってしまって…」とまさかの空振り。こぼれ球をMF黒崎隼人(2年=栃木ユース)が蹴り込んで4点目が生まれたものの、「悔しかった」と振り返る。

 無得点のまま、ピッチを後にする時間が迫っていた。後半33分に得たCKの場面。長山一也監督から「ラストワンプレー」と言われたディサロは、「すべてのパワーを使って、このプレーで絶対に決めてやる。『俺に取らせて下さい』と言おうとした」と燃えに燃えていたが、チームメイトから「お前、GKの前に行け」とポジションを告げられて「マジか…」と頭を抱えたようだ。

 しかし、永戸が蹴り出したCKの流れからボールを拾ったMF長倉颯(2年=横浜FMユース)が、ゴール前のディサロへとパスを通す。「多分、神様が見ていてくれて、自分のところにボールがきた」と苦笑しながらも、左足できっちりとゴールを陥れ、「決められて良かった」とインカレ初ゴールに喜びを表した。

 チーム内での存在感が高まってきていると指揮官も太鼓判を押す。「今までも突破する力がありながらも、あまり行かなかったが、自分で仕掛けて個人で打開できるようになってきた。ここ1か月くらいでグンと伸びて、最近は顔つきも変わってきた」。ディサロ自身も成長の実感は「ある」と力強く語る。

「ヤマくん(DF山田将之(4年=青森山田高))に『もっと守備ができたらいい選手になるよ』と言われたので、(鈴木)歩くんの守備を参考にしながら、守備の部分が成長できたと思う。それとエゴを出す部分と味方をうまく使うバランスがちょうど良くできている」

 インカレの舞台で結果を残した。確かな成長を遂げるストライカーは、「チームの勝利に貢献できれば」と前置きしながらも、「でも自分が点を取れば勝利に近付くと思うので、守備やきついことをやりつつ、点を取って何でもできる選手だと言われるようになりたい」と次戦以降のゴール奪取を誓った。

(取材・文 折戸岳彦)

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