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後半に中野誠也投入も前回王者・筑波大が敗退…初出場・東京国際大がPK弾を守り切りベスト4進出

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前回王者の筑波大は準々決勝で敗退となった

[12.18 全日本大学選手権準々決勝 筑波大0-1東京国際大 柏の葉]

 第66回全日本大学サッカー選手権(インカレ)準々決勝が18日に行われ、東京国際大(関東6)は筑波大(関東1)と対戦し、1-0で勝利。初出場で前回王者に勝利した東国大は21日、準決勝で流通経済大(関東3)と戦う。

 前回王者にして今季のリーグ覇者・筑波大相手に戦いを挑んだ東国大。最前線でボールを収められるFW町田ブライト(3年=成立学園高)が累積警告により出場停止ということもあり、従来の4-4-2から真ん中に3人を配置する4-5-1に変更。東国大の前田秀樹監督は「チャンピオンとの能力差ははっきりある。でもサッカーはここが面白くて、チーム力で勝てるという要素もあるんだ。今日はそれを証明しよう」と選手たちを送り込んだ。

 試合のハイライトは前半6分にやってきた。左サイドでボールを持った東国大はDF中村彰吾(3年=鹿島学園高)との連係からMF安東輝(4年=浦和ユース)がPA左に進入。守備に入ったMF近藤太(4年=真岡高)に倒され、PKを獲得する。そのままキッカーを務めた安東は「決める自信はあった」と冷静にゴール右に沈め、東国大が先制に成功した。

 狙いの先制点奪取に成功した東国大はそこから守備固めに入る。中盤のMF條洋介(4年=浦和ユース)、MF石田勇大(3年=水戸啓明高)、MF桶谷亮太(4年=帝京高)のうち1人が1トップと距離を測りながらハイプレスをかけつつ、残り2人が筑波大の肝である中盤のクサビに仕事をさせない。前田監督は「キーは條」と語り、「一番きついところを守備に徹底してくれる」と信頼を寄せる。

 しかし筑波大も決定機をつくる。前半24分、PA右に入り込んだMF西澤健太(3年=清水ユース)が折り返し、FW北川柊斗(4年=名古屋U18/新潟内定)が強烈な右足シュートを放つが、ゴール左ポストを叩く。ゴール前に転がったボールを近藤が豪快に打つが、「ハンドだけしないように手だけしまって。体のどこかに当たれば」という條が飛び込んでブロックし、ゴールを守り切った。

 前半に追いつくことができなかった筑波大は、今大会ここまでベンチを温めていたリーグ得点王・FW中野誠也(4年=磐田U-18/磐田内定)を投入する。すると後半14分、左サイドを突破したDF野口航(4年=大津高/北九州内定)が鋭いクロスを上げると、中野がニアに飛び込んでヘディングシュート。しかしボールはクロスバーを直撃し、危ういところをDF楠本卓海(4年=大成高/山口内定)がクリアして難を逃れた。

 終盤に差し掛かって筑波大はパワープレーを展開。後方からボールを飛ばしてチャンスを量産するが、東国大は途中出場のFW宇高魁人(1年=長崎総合科学大附高)以外の全員が自陣に戻り守備に徹したことと、GK古島圭人(4年=帝京高)の安定したハイボール処理で危機を乗り切っていく。

 後半アディショナルタイムに入り込むと、筑波大が立て続けにゴールを狙う。最後方からのボールを頭でつないでゴール前に送り、中野が右足ボレーでゴールネットを揺らすがオフサイドの判定でノーゴール。ラストプレーでは再びロングフィードからゴール前に運ぶが、中野のボレーはミートせず。直後には試合終了のホイッスルが鳴らされ、前回王者・筑波大は準々決勝で姿を消すことになった。

 筑波大の小井土正亮監督は「早いところの失点で試合を難しくしてしまった。逆を言えば時間はあったので冷静にやればチャンスをつくれるはずだった」と試合を振り返る。「でも一押し足りない。後半は中野を入れて前の圧力を強めたけど、でも0点は0点。失点したけど、何よりも点を取れなかったことが一番の敗因だと思います」と語った。

 前田監督は「筑波大を0点に抑えるっていうのは、はっきり言ってきつい」と本音を口にする。「選手たちが集中して0点に抑えたのはよく頑張ったなって思います。なんとか入れさせねえっていう集中力が今日の勝因かな。今日は何を言っても守備ですよ。シュートなんて(ほとんど)打ってないんですから」と選手たちを褒め称えた。

 初出場の東国大にとって、勝ち進めばそれが最高成績へと変わっていく。主将の楠本は「ここまで来たからには優勝です。もう目の前にあると思うので」と目標を頂点に設定。しかし「上を見すぎて準決勝が疎かになってはいけないので、優勝を意識しつつ次の試合の準備を2日間でしっかりしたら、自ずと決勝の舞台には行けると思う」と油断はない。

 前田監督も「ブライトが次は帰ってくるので、またやり方を変えていこうと思います」とすでに次の試合を想定。攻撃のキープレーヤーが出場停止から戻ってくるため、本来の攻撃の形が復活する可能性が高い。同会場第2試合の結果により、次戦の相手は流通経済大に決定。リーグ戦では1勝1敗と互角の結果だが、果たして東国大の快進撃は優勝まで続いていくのか。その行方に注目が集まっていく。

(取材・文 石川祐介)
●第66回全日本大学選手権(インカレ)特集

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