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[大学選手権]仙台内定・奥埜のFW起用的中!!攻撃サッカー貫いた仙台大がインカレで4年ぶり勝利

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[12.18 全日本大学選手権1回戦 高知大1-2仙台大 たつのこ]

 大学サッカー日本一を懸けた平成23年度第60回全日本大学サッカー選手権(インカレ)が18日に開幕し、1回戦8試合が行われた。茨城県の龍ヶ崎市陸上競技場たつのこフィールドで行われた第1試合では18年連続27回目の出場を誇る四国代表高知大と11年連続28回目の出場を誇る東北代表仙台大が対戦した。仙台大がベガルタ仙台加入内定の奥埜博亮(4年=仙台ユース)のゴールなどで2-1で勝利。本大会での勝利は4年ぶり、現行の16チームトーナメントとなってからは初勝利となった。

 前半、優位に立ったのは仙台大。吉井秀邦監督・瀬川誠コーチ体制になった昨シーズンから磨き続けたボールポゼッションを重視するサッカーで、同じくポゼッションサッカーを得意とする高知大を押し込んだ。東北大学リーグや特別指定の仙台ではボランチに入ることの多かった奥埜は3トップの中央でプレーし、積極的にゴールを狙った。しかし前半だけで12本ものシュートを放ちながら、ミスが重なったり、高知大GK片山裕登(4年=鳴門高)のファインセーブがあったりでどうしてもゴールを奪えない。ボールを保持すべき場面でゴールに急ぎすぎることも多かった。瀬川コーチは「相手が引いてきたらいつも通りポゼッションをやろうとしたが、非常にみんな緊張していたのかすごく硬くて、真ん中で引きつけることをやれなかったのが前半の課題。数的優位を作れているのに崩せなかった」と全国大会の緊張があったことを認めた。前半は0-0で折り返した。

 後半立ち上がりは、高知大がゴール前で何度かチャンスを作る場面もあり、仙台大としては厳しい展開にも見えた。しかし奥埜は「高知大が前から来ていて、後半間延びしてきたので、うちの中盤の選手は技術があるので落ち着かせることができていた」と語るなど、選手はむしろ前半よりも良い手応えを感じていた。

 その手応えがゴールに繋がったのは後半24分だった。3トップ右に入ったキャプテンFW森田光哉(4年=青森山田高)が間延びした高知大守備陣をドリブルで切り裂いた。そしてゴール前に走ってきた奥埜にラストパス。奥埜はゴール前で冷静に左足でグラウンダーのシュートを決めて、仙台大がついに先制した。落ち着きを取り戻した仙台大は39分には20分から途中出場したFW佐藤世弥(4年=秋田商高)が相手のパスをカットしドリブルでゴールへ突進。今度は佐藤のパスを受けた森田が右足でシュートを決めて2-0と試合を決定づけた。

 意地を見せたい高知大は後半ロスタイム、セットプレーでの反則で得たPKをキャプテンの西山巧真(4年=エストレラ姫路FCU-18)が決めて1点差に詰め寄ったが反撃もここまで。試合を通じて攻撃的姿勢を貫き続けた仙台大が2-1で勝利し、初戦突破を決めた。

 東北大学リーグでは中盤で使っていた奥埜をFWで使ったことについて瀬川コーチは「今日は奥埜を起点にしたかった。最前線で起点を作れなくなるのが嫌だった。守備でも下がって守ってくれたので助かった」と狙いを語った。「DFが頑張って前に運んでくれるので、一回おさめてDFを休ませることが大事。中盤の時とディフェンスのやり方が違い、自分からディフェンスが始まるという意識でやって、FWなので得点も取れて良かった」と語る奥埜はコーチの期待に応えた。終始奥埜が前線の起点になれたことで、仙台大は優位に試合を進めることができた。

 「高知大はポゼッションのうまいチーム」と組み合わせが決まった際、瀬川コーチは警戒していた。しかし終わってみれば仙台大らしい攻撃的姿勢を貫き、ポゼッションでも相手を上回った。2年間貫き続けたパスを丁寧に繋ぎ、どんな相手にも攻撃的な姿勢で挑むサッカーがついにインカレの舞台で花開いた。準々決勝はポゼッションの非常に巧い明治大との一戦となるが、「まだまだ仙台大らしくない。もっとポゼッションしてゴールを目指したい」と瀬川コーチは強い意気込みを語った。ぜひいつも通りのポゼッションサッカーで明治大に真っ向勝負を挑んでほしい。

[写真]1点目のゴールを決め、喜ぶ仙台大

(取材・文 小林健志)

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