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日本代表メンバー発表会見、ザッケローニ監督コメント全文

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 日本サッカー協会は9日、都内で会見を開き、キリンチャレンジカップ2012に向けた日本代表メンバー23選手を発表した。その席でアルベルト・ザッケローニ監督は「日本サッカー界はロンドン五輪で活躍しているU-23代表の活躍もあり、良い雰囲気だと思いますし、A代表も彼らから刺激を受けています」と語り、15日のベネズエラ戦については、9月11日に行われるW杯最終予選のイラク戦に向けた「非常に良いテストの場」と語った。

 以下、会見でのアルベルト・ザッケローニ監督コメント

「時期的にオリンピックの時期で、オリンピックの活躍に注目が集まっていましたが、ようやくA代表も活動を再開できます。次の8月15日の試合、また9月の試合(6日UAE戦)に関しても、最終予選のイラク戦に向けて非常に重要な位置づけの親善試合になると思います。私が持っている情報としては、国内組の動向はJリーグの視察を続け、注意深く観察しています。しかし、海外組はリーグが始まっていないため、コンディションも分かりません。国内組に比べると、把握できていない状況であります。また今回のマッチデートに関しては、海外組については、試合の1日前、もしくは2日前にしか合流できません。当然、現在の日本サッカー界の雰囲気は、ロンドン五輪で活躍しているU-23日本代表の活躍もあり、良い雰囲気だと思いますし、A代表も彼らから刺激を受けています。ご存じのようにベネズエラと試合をしますが、彼らは先のコパ・アメリカで4位に食い込んでいる強豪であり、非常に良い選手で構成されたチームです。次の最終予選のイラク戦に向けて非常に良いテストの場になるのではないかと思います。また、南米のチームの特徴としては、フレンドリーマッチでも軽い気持ちで来ることはなく、非常に強い気持ちで試合に臨んでくると思っています」

以下、質疑応答

―水本の選出について?
「次の最終予選に関してはDFラインのメンバー3人が出場停止という状況です。そういったことを含め、これまで見る機会のなかった選手を手元に置いておきたいと思い、招集に至りました。今回の招集メンバー全員に言えることですが、各所属クラブで活躍している選手です。水本選手も例外に漏れず、シーズン最初から所属の広島で素晴らしい活躍を見せてくれています」

―五輪組が3人しかいないが、永井選手の招集がなかったのは?
「現時点でA代表が抱えている大きな問題は、先ほども言いましたが警告の累積からくるDFラインの出場停止をどう修正するか。そこを今回の合宿では重点的に考えていきたい。そこに誰が入るのが適任かを見極めたい。永井選手に関してはオリンピックで非常に良い活躍をしているのは知っていますし、実際に見てきました。しかし、五輪チームとA代表のやっているサッカーは違うものになります。採用しているCF象も現時点では異なったタイプの選手です。現時点で(A代表は)結果が伴ってきている、また良いサッカーができていると思っているので、そこで大きく変えるというよりは、現状路線のCFを使おうかなと思いました。また、永井選手に関してはCFもできますし、サイドでのプレーもできると認識していますが、今回の合宿は攻撃のところよりも、守備をいかに修正するかに重きを置いています。個人的な見解として今の五輪メンバーはA代表に値する選手だと思っています。代表候補と言えると思いますが、残念ながら23人しか呼べない現状ですので、こういう決断になりました」

―今野選手、栗原選手、内田選手の3選手を呼ばなかったことについて?
「シンプルに次の予選に出場停止だから呼びませんでした。イラク戦に向けて、2試合のテストがありますので、どういう構成で行くべきかを見極めるためには理に適っていると思っています」

―ビッグクラブに移籍した香川にもたらしてほしいことは?
「特にこのタイミングではそういうことはありません。それに、これまでも香川選手はビッグクラブでプレーしていたと思います。ドルトムントでも2シーズン連続でブンデスリーグのタイトルを獲っていましたし、ヨーロッパでもビッグクラブといえるチームだったと思います。マンチェスター・ユナイテッドはまた別の重みのあるクラブですが、まだ入団したばかりですし、まだチームに馴染まないといけないでしょう。そういうことはともかく、代表に来るにあたっては、どのクラブでプレーしていても、選手それぞれが特徴を出してくれることが一番ですし、各々が所属しているクラブと代表チームでは、メンバーも変わってきます。例えば、CFはウェイン・ルーニーではなく、マイク・ハーフナー選手、前田遼一選手だったりする。また、岡崎選手、本田選手も前にそろっています。そういう意味では香川選手に関していえば、この代表チームのメンバーの特徴に合わせて自分の特徴を出してほしい。それは香川選手だけではなく、代表チーム全員に言えることだと思います。さらに具体的に香川選手の話をすると、実際に彼の最大の特長は何かということ。彼の特長はゴール前で走り込んでエリア内で仕事をする、そこで輝ける選手です。彼にはそういった仕事を期待しています」

―五輪で出場し続けている吉田選手や権田選手の疲労については考慮しなかった?
「フレンドリーマッチと言えども、ベースとなるメンバーは可能な限り手元に置きたいと思っています。クラブとは異なり、代表は時間が限られています。そういった中で復習という意味でも、同じメンバー構成で、同じトレーニングをしたいと思います。今回、招集していない清武選手、酒井宏樹選手も、コンディションが伴っていれば、できれば呼びたかった。しかし、一人は足首にケガをしていると聞いていますし、もう一人はコンディションがそんなに良くないということで、先日の試合も見て、こういった決断を下しました。代表チームに来て、もしかしたら出場機会がない選手が出るかもしれません。しかし、このチームに来て、代表のやり方を分かってもらう、やり方を思い出してもらうことも次につながると思うので、大切な機会になるのではないかと思います。当然、長く一緒にいることができれば、それに越したことはありません。実際に6月の最終予選でも、あれだけ長い時間一緒にいれるとチームとしての完成度も増し、プレースピードも上がり、コンビネーションも合ってくると思います」

―最終ラインは吉田選手が軸になると思うが、彼と他選手の連係は?
「伊野波選手、水本選手、岩政選手は3人とも異なった特徴を持っています。その中で水本選手、伊野波選手は似ているタイプで、スピードのあるCBだと思います。一方、岩政選手は空中戦で強さを発揮するタイプだと思います。それぞれ置かれる状況によって発揮できる力は違うと思いますし、最終予選のイラク戦までに2試合テストの場がありますから、それまでに、どういった構成がいいのかを見極めていきたいと思います」

―五輪で吉田選手とコンビを組んだ鈴木大輔選手も今後は候補となるか?
「先ほども言いましたが、五輪代表のチームの選手は、すでにA代表の候補選手と思っています。ただ、いろいろな要素を考え、これまでのメンバーもいましたから、大きく変えるというのではなく、上手くいっている現状路線でいった方がいいかなと思っています」

―9月11日に対戦するイラク。ジーコ監督がピッチ外で揉めているが?
「ジーコ監督の件ですが、ピッチには契約書を持って行きません。ピッチにはユニフォームを着て、ボールを持って向かいます。それは世界共通で、そうやって試合に勝ちに行きます。イタリアを見ても、過去W杯優勝した2回とも、当時の環境を見てみると、ピッチの外ではかなり問題があった中で優勝しています。ですから、ピッチ外の問題はピッチ内にあまり関わりはないかなと思います。ピッチにはボールとユニフォームを持って勝ちに行く。イラクも同じように来るのではないでしょうか」

―明日の五輪3位決定戦へのアドバイス、期待することは?
「その質問は、関塚監督にされた方がいいのではないでしょうか? 関塚監督が招集したメンバーで、関塚監督が鍛え、関塚監督がここまでチームを引っ張ってきましたので、そこに私が入る余地はないと思います。関塚監督の管轄ですので、そこに入っていくような失礼なことはしたくありません。私たちが考えないといけないのは、対戦相手ということではなく、自分たちのフィジカルのコンディション。疲れの回復具合がどれくらいか。先のメキシコ戦でも、コンディションがもう少し整っていれば、うちの試合になったのではないかという見解でいます」

(取材・文 河合拓)

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