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AFC U-16選手権を勝ち抜き世界へ!U-16日本代表がアジア最終予選へ向けて国内最終合宿スタート

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 13年U-17W杯の出場権を懸けたアジア最終予選、AFC U-16選手権イラン2012(9月21日開幕)を戦うU-16日本代表が26日、同大会へ向けて国内最後となる合宿を千葉県内でスタート。ピッチでのトレーニング初日となった27日の午後にはワンプレー、ワンプレー確認作業を行いながら9対9を実施するなど、選手たちは約1時間30分間汗を流した。

 3泊4日で行われる国内最終合宿のテーマは「チームビルディング」だ。怪我・体調不良による入れ替えがあるかもしれないが、メンバーは今回参加している23名が中心になることが確定。世界8強へ進出した11年U-17W杯に続いてチームの指揮を執る吉武博文監督は「今回の3泊4日は思考する、ということですね。身体よりも、気持ちとか、心とか。チーム間だったり、ピッチの中でそれぞれがどんなことをすればいいのかということにフォーカスした3泊4日にする」。

 これまでの合宿は鍛えることであり、メンバー選考といった要素がメインであったが、メンバーも確定し、9月10日からアルメニアで行わう直前合宿を含めて9月23日の初戦・サウジアラビア戦へ向けて時間をかけて準備することができる。今回の4日間ではピッチの中での約束事から、ホテルでの過ごし方までをそれぞれが理解し、チームに持ち帰ること。その中でこの日の練習では9対9でフロントボランチへの楔のパスから連動した動き、相手のマークを外す動きのタイミングについてに練習時間の大半をかけて行った。

 指揮官は「アジアの予選というのは99回成功しても、100回目で失敗して失点するし、逆に攻撃側の方は99回成功していて、たまたま100回目動いていなかったらボールが出てくることがある。ですから、そういうエラーをなくしたい。選手たちが今、どうすれば良かったのかというジャッジしてもらいたいなと。ゆっくり選手たちに理解してもらっている。普段ならば鍛えるという感じなんですけど。このキャンプからは最終予選へ向けてひとつのコマと考えているので、ゆっくりやっていきたいと思っています」。今回の合宿では練習試合を行わず、元プロ野球選手の講演を聞いたりして、戦いへ向けての意識やチームの一体感、和を高めていく。

 アジア予選へ向けてチームの狙いを身体に染み付けさせること、そしてそれぞれの動き、特長を理解することが重要だ。吉武監督は「いまのところ複数のポジションをこなせる選手たちがいる。その中で自分の特長をいかに出せるか。その特長を出すためには周りの選手たちがその特長を知らなければならない。人の良さを出すことが自分の良さを出すことにつながる。パスを出すこと、受けることが得意な選手は、パスを出すタイミングをもっと精練していけば、『そのタイミングで走ってよ』と言えばパスを出す方も生きるし、受ける方も生きる。こういう細かなすり合わせをやっていく中で、彼らの良さがもっともっと引き立ってくれると信じています」。

 目標は世界でのファイナリスト。アジア最終予選はグループリーグでサウジアラビア、韓国、北朝鮮と同組でとても厳しい戦いが予想されるが、10番を背負う予定のFW中村文哉(G大阪ユース)が「みんないい雰囲気でやっているし、とてもいいと思います。優勝目指してやっている。アジアを抜けないと世界はない。絶対に勝つ」と語るように選手たちは結果を残すことだけに集中している。日本代表DF酒井高徳の弟でCBの酒井高聖(新潟ユース)やDF中谷進之介(柏U-18)、MF北川航也(清水ユース)ら注目タレントたちが、その特長をチームで活かして勝利をつかむ。

 合宿のスタートに伴って「絶対じゃないけれどこのメンバーでイランには行く、と伝えました。逆にここの中での凌ぎ合いというのが当然ある。でも緊張する必要は全然なくて、ワクワクしたり、ウキウキしたりするような体験をイランで積むために行くんだ、という話をしました。スタイルについては全員攻撃、全員守備を変えるつもりはないし、対戦相手がどこのチームであろうと、選手が変わろうとそれを踏襲していくだけ」と吉武監督。前回のU-17W杯で8強とほぼ同じスタッフ陣の経験値もチームの武器となりそう。アルメニアでは高地合宿を実施するなど、U-17W杯での経験を活かした調整で世界ファイナリストへの挑戦をスタートさせる。

(取材・文 吉田太郎)

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