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ミゲル・ジャパンの“仲間”に感謝するGK川原「結果で応えるしかない」

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 11月1日に開幕するフットサルW杯に向けて、最初の合宿を終えたフットサル日本代表。そのチームの絶対的守護神である川原永光(名古屋オーシャンズ)は「どういうふうにW杯に向かっていくか、チームの方向性が分かったことが分かった」と収穫を口にした。

 フットサル日本代表は、この合宿から2人の強烈な個性を加えた、横浜FCのFW三浦知良名古屋オーシャンズのFP森岡薫である。AFCフットサル選手権を制したメンバーに、2人を加えて行った最初の合宿で、どう戦っていくかが見えたという。

「やることはアジア選手権と変わらない。変わらないし、カズさんが入ったからといって、自分たちがカズさんのためだけにやるのではなく、みんながそれぞれの良い部分を出して、引っ張って行く気持ちで一緒に頑張っていく」

 三浦自身も「大切なのは、フットサル日本代表でやってきた選手たち」と口にするが、川原もまたアジア選手権優勝メンバーがチームを引っ張る重要性を強調した。過去の教訓が、ある。かつてフットサル日本代表は、元Jリーグの選手を大量に加えたことがあった。個の能力の高い元サッカー選手が加わることで、世界と対等に戦えるようになる。そういう判断があったが、結果的にはうまくいかなかった。それまでフットサル日本代表を支えてきた選手たちと、元Jリーガーの間に、溝が出来てしまったからだ。

 約2日、三浦と時間を共にした川原は、その招集について「本当に良かったと思う」と話した。「こうやって多くのメディアも来てくれたし、良い状況をつくってくれている。それに僕らは応えないといけないし、今までと同じようにやっているのではダメだと思う。以前も元Jリーガーがいたけど、当時みたいな失敗をチームとして、してはいけない」。

 注目が集まるというメリットがある一方で、デメリットもある。三浦の招集によって、フットサルに全身全霊をかけてきた選手が一人、代表に入れなくなるからだ。「それについては、気持ち的にふっきれないところもある」と、川原は認めるが、代表に参加するかどうかは、監督と本人以外は口を出すべきではないという。

「それを決めるのは監督であり、カズさん自身だから。自分もそうだからね。もし、自分がケガで100%の状態で大会に臨めないと判断すれば、行かないと思う。それは本人だったり、監督が決めることで、第3者が言うことじゃないと思う。もちろん、メディアも本人の出たいという気持ちは抑えられないと思う。それは選ばれたメンバーでやるしかないと思う。今でも、この合宿に選ばれていない3人、ミツ(松宮充義)だったり、(渡邉)知晃だったり、(原田)浩平だったり、その3人の想いは僕も悔しい」と、ミゲル・ジャパンで多くの時間を共有した“仲間”たちの想いを口にし、続けた。

「でも、それを言えば上澤(貴憲)もそうだし、北海道のカズ(菅原和紀)もそう。ミゲル体制でやってきて、途中で理由があって外れた選手たち。家族のことだったり、ケガのことだったりがあった。でも、このチームが成長できたのは、彼らがいたからこそだと思うし、その気持ちだけは持って、僕らは結果で応えるしかない」

 フットサルを愛し、真剣に取り組んできた選手たちの想いとともに、世界と戦う。そこで結果を出すことが出来れば、フットサル界は新たな局面を迎える。そう信じている。

 三浦は大きなチャンスを与えてくれている。この日、10月24日に行われるブラジル戦の先行販売チケットは、わずか10分で完売した。もちろん、フットサル界では初のことだ。「カズさんも特別な思いになるだろうけど、僕らもずっとブラジルに大敗しているからね。日本も強いというか、いやらしいなと思わせたい」と、川原は意気込む。前回のW杯の開幕戦、日本はブラジルに1-12と大敗している。軽々しく「勝つ」と言えるほど、簡単な相手ではない。だが、日本のゴールマウスを10年に渡って守り続けている日本フットサル史上最高のGKには、負けられない理由があるのだ。

(取材・文 河合拓)

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