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4大会ぶりU-20W杯出場へU-18代表候補が始動、松本「一体感はもっともっと大事にしていくべき」

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 目標は4大会ぶりとなるアジア突破! 15年U-20W杯を目指すU-18日本代表候補が、3月26日から4月2日まで大阪府内でチームの始動合宿を実施した。エース候補のFW南野拓実(C大阪)は初日のミーティングのみの参加で、札幌で先発起用されているMF深井一希も2日目までの参加となるなど離脱者も出たが、磐田を02年のJリーグ年間王者へ導いている鈴木政一監督の下、日本代表FWハーフナー・マイクを兄に持つCBハーフナー・ニッキ(名古屋)や、昨年のAFC U-19選手権日本代表メンバーであるMF松本昌也(大分)、「高木3兄弟」末弟のFW高木大輔(東京Vユース)、FW宮市亮を兄に持つFW宮市剛(中京大中京高)らがチームの戦い方を共有した。

 指揮官によると、選手それぞれが思うようなプレーをすることができなかったことも影響してか、2日目まではチームの雰囲気も重かったという。それでも「ボクは大学のとき(昨年は日本体育大監督)も、ジュビロのときもそうだけど、やるのは選手たちだから、選手たちをいかにモチベーションを持たせながら向かっていける環境をつくっていけるかというのがあるんですよ」という鈴木監督の下、選手たちにも自信も芽生えたか、後半は高木やハーフナー、CB三浦弦太(清水)らがチームを盛り上げるなど、声のよく出るチームになっていた。“元気印”の高木は「向上心を持って、いい雰囲気でこのチームでの活動ができれば、アジアでも必ず抜けられると思う。全員でコミュニケーションを取って毎回のキャンプを大事にアジアへ向かっていきたいと思います」と誓っていた。

 ただアジアを突破することは簡単なことではない。鈴木監督も「プレッシャーありますよ。3大会出ていないですしね」と胸のうちを明かす。U-20W杯の出場権を懸けたAFC U-19選手権ではGK権田修一やFW永井謙佑らを擁した08年、FW宇佐美貴史やDF酒井高徳のいた10年、そしてDF遠藤航やFW久保裕也が中心だった昨年といずれも準々決勝で敗れて世界切符を獲得することができなかった。メンバーの中で唯一昨年を経験した松本はまとまりの部分の重要性を強調する。「実際に経験してアジアの厳しさというのも知っていますし、そう言った部分は伝えて行きたい。(前回やや課題となった)チームワークだったり、一体感というのはもっともっと大事にしていくべきだと思います。今回はよりまとまって、チーム一つになって戦わないと、ワールドカップには出場できないと思います」。始動合宿において、選手それぞれが実感していた良いムードを今後も継続していく。

 課題はまず練習の質から上げることだ。アジア突破のためにグループでの戦いの重要性を説く鈴木監督は「多分、技術的には持っているんだろうけれど、練習の中での行動が練習で終わっている。試合をイメージできていない」と厳しく指摘する。短い期間の合宿では練習からより高い意識を持って、試合を想定した攻守をすること。そしてチームとして連動性を高め、成熟していかなければならない。また個人としても所属チームでどん欲に成長することだ。指揮官は「代表の期間の中では個人のことがあまりできない。時間がないから。だから彼らには自分たちのチームに戻った時に、言ってきたことの環境をつくって、個を上げてきてもらわないと、チームとしてよりレベルの高いサッカーをすることができていかない」とそれぞれが高い意欲でレベルアップしてくることを求めた。

 選手たちもそれは理解している。今回の合宿にはMF望月嶺臣(名古屋)やMF谷村憲一(山形)ら9人のJリーガーが招集されたが、南野はすでにナビスコ杯でゴールを決め、松本もナビスコ杯で先発デビューを果たすなど各チームで出場機会を増やし、自身をより向上させようと奮闘中だ。アジアの壁の高さを痛感している松本は「この前、プロでデビューして技術面とかは通用したと思います。でももっともっと自分が上で活躍するためには、自分で打開したり、シュートまでもっていく力をつけていかないと、上に行った時に通用しなくなる」とさらなる成長を誓う。Jリーグで活躍した選手たちで臨んだ過去の予選でも苦戦を強いられた。アジア1次予選が開催される10月、そしてアジア最終予選の行われる来年へ向けてチーム、個人ともに今まで以上の進化が期待される。

(取材・文 吉田太郎)

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