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初実戦のエース候補FW南野が先制ゴールも、U-18日本代表候補は順天堂大とドロー

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[6.10 練習試合 U-18日本代表候補1-1順天堂大 秋津]

 15年U-20W杯を目指すU-18日本代表候補は千葉合宿2日目の10日、順天堂大と練習試合(45分2本)を行い、FW南野拓実(C大阪)のゴールで先制したが、その後決定力を欠いて1-1で引き分けた。

 J1中断期間に行われている今回の千葉合宿。鈴木政一監督は「今回のキャンプの目的がチームの戦術的な部分、どう攻撃をして、どう守備をしてという部分と、練習の中でプレーの判断の共有をして、プレーの精度を高めること。あと最終的には危機管理の部分。この3つを今回のキャンプの大きな目的として彼らに話をしている」と目的を説明した。

 エース候補の南野と、前回のAFC U-19選手権(U-20W杯アジア最終予選)を唯一経験しているMF松本昌也(大分)というJ1で出場機会を得ている選手も招集して合宿を実施している貴重な機会。10月のAFC U-19選手権2014予選(15年U-20W杯アジア1次予選)へ向けてこれまで、そして今後もなかなか招集できないであろう彼らを含めてチームコンセプトや選手同士の特長の共有が図られている。その中で迎えた今合宿初戦の対戦相手は関東大学リーグ1部の順大。相手はユニバーシアード全日本大学選抜メンバーのMF天野純や元湘南ベルマーレのFW原田開を欠いていたが、全日本大学選抜選出歴を持つMF長谷川竜也やGK大畑拓也ら主力選手たちが顔を揃えていた。U-18代表候補はこの相手から主導権を握って試合を進めていく。

 同じくJの公式戦で経験を重ねているMF深井一希(札幌)と17歳MF川辺駿(広島)をダブルボランチに置き、南野と松本、そしてCB三浦弦太(清水)も先発出場した1本目。立ち上がりから少ないタッチでボールを動かすU-18代表候補は前線で南野がハイレベルなプレーを披露する。素早い出足を見せる順大のプレッシャーにも全く怯まずボールを収め、前を向けばドリブルで確実にファーストブレイク。チームは深井と川辺が正確にボールを捌くと、左の内田裕斗(G大阪ユース)と右の広瀬陸斗(浦和ユース)の両SBが高い位置でボールに絡んでドリブル、クロスへ持ち込むなど厚みのある攻撃を見せる。

 11分、U-18代表候補は中盤に下がってボールを受けた南野が右前方のMF関根貴大(浦和ユース)とのワンツーから右サイドの広瀬へ展開。これを広瀬が早いタイミングで中央へ放り込むと、PAまで走り込んでいた南野がニアサイドからダイビングヘッドを叩きこむ。鈴木監督率いるU-18代表候補での初実戦だった南野のファインゴールで先制点を奪った。

 だが順大は直後の14分、右サイドから相手の背後を取るとFW山嵜駿が鮮やかな右足ループシュートを決めて同点に追いつく。1チャンスをものにされたU-18代表候補はこの後、ボールを支配しながら攻撃していくが、松本や南野が絡んで狭い局面での崩しを見せる一方、アタッキングゾーンでの攻撃に時間がかかると確実に危険を消してくる順大にチャンスの芽を潰された。それでもU-18代表候補は24分、南野のスルーパスにFW越智大和(広島ユース)が走りこみ、34分には左オープンスペースでボールを受けた南野が縦に仕掛けて左足を振りぬく。ただGKの横を抜けたボールはゴールライン手前でDFにクリアされて勝ち越すことができない。セットプレーを含めて相手の攻撃についてはCB内山裕貴(札幌U-18)と三浦中心に要所を締めて守ったU-18代表候補だったが、1-1で1本目を終えた。

 1本目からメンバー全員を入れ替えた2本目は、MF望月嶺臣(名古屋)、MF谷村憲一(山形)、FW高木大輔(東京V)とJリーガー3人がピッチに入り、高校選手権得点王の小屋松知哉(京都橘高)を右SB、初招集の高橋壮也(立正大淞南高)を左SBに配置。抜群のスピードを持つこの両SBが再三縦への仕掛けを見せるなど、1本目よりもゴールを脅かす数を増やした。19分にはカウンターから高橋がドリブルで長い距離を一気に駆け上がり、最後はPAの高木が右足を振りぬく。また26分には再びカウンターからPA手前で2度のワンツーを完結させた高木が右足シュート。28分にもショートカウンターから高木とのワンツーを通した望月の右足シュートがGKの頭上を破る。だが、クロスバーを叩いて勝ち越すことができない。

 相手が前線からディフェンスしてくることが予想されるアジア予選。「狭い局面をどうダイレクトで捌いてスペースと時間をつくって相手を動かすか。個人でも、チームでも仕掛けてボールを奪ったり、得点を奪ったりことができるチームにしたい。蹴っちゃうとフィフティ・フィフティになってしまう。組み立てのところでしっかりとボールを動かしながら展開のところで時間をつくって、前線が動き出して、突破のところへつなげていければいい」と指揮官は話す。チーム結成後3度目の合宿となった今回は、相手のプレッシャーをショートパスでかわし、ダイレクトパスなどでスピードアップする狙いを持ちつつ、先月の大阪合宿に比べると奪ってからの速さ、迫力も増していた印象だ。

 また守備陣はボールを奪ってから間髪入れずに攻めてくる順大の攻撃に穴を開けられることなく、PA手前で食い止めた。だが、2本目34分にFW金子翔太(JFAアカデミー福島)の絶妙な落としから高木が抜け出したものの、GKとの1対1から放った決定的な右足シュートがクロスバー上方へ外れてしまうなど無得点に終わった。勝ち越しのチャンスを活かしきれなかったU-18代表候補は引き分け。これで対外試合は4月の関西大戦、5月の全日本大学選抜戦と大阪学院大戦に続いて4試合連続未勝利となった。 
(取材・文 吉田太郎)

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