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右サイドで先発濃厚の清武はガーナ崩しに自信

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 FW岡崎慎司(マインツ)の負傷離脱で、得意とする右サイドでの先発が濃厚となったMF清武弘嗣(ニュルンベルク)が、ガーナ崩しに自信を覗かせた。

「ガーナは強いし、とにかく速いという印象。でも、ディフェンスに隙がある。個人の能力は高いけど、組織としてはどうかなという感じ」

 ずば抜けたスピードやジャンプ力など、身体能力の高さはアフリカ勢特有のものだが、ミーティングで映し出されたビデオでは、組織守備の弱さが浮き彫りになっていた。「アフリカのことはよく分からないのですが」と言いながらも、「自分たちが組織的に崩せばチャンスになると思う。個人の能力の高い相手にどれだけできるのかがすごく楽しみ」と目を輝かせる。

「崩せそう」との自信の裏付けとなっているのは、1週間が経過した代表合宿で、新顔の1トップ2人を含めた攻撃陣の連係が深まっていることを肌で感じているからだ。さまざまな組み合わせで練習をこなすことで、FW柿谷曜一朗(C大阪)、FW大迫勇也(鹿島)の特徴をほぼ把握しつつあるのだ。

 まずは「2人とも裏に抜ける動きは抜群」と共通項について言及。続いて「(柿谷)曜一朗はすべてにおいてすごいプレイヤーだし、“一本”がある。ずっと消えていても最後に仕事をしちゃう。サコ(大迫)はポストプレーもできるし、背負ってからの反転も速い。うまく体を当ててその反動を使って自分が反転するというのを持っている」と、具体的イメージをよどみなく話した。もちろん、そこにどのようなパスを供給するかも頭の中にある。

 グアテマラ戦では新鋭のFW工藤壮人(柏)が代表2得点目を決めた。ガーナ戦は欠場するが、岡崎という“レギュラー”も存在する。コンフェデレーションズ杯組のMF乾貴士も代表復帰を虎視眈々と狙っているはず。W杯に向けて競争はさらに熾烈になってきている。しかし清武は「まずはチーム」と強調する。

「僕に求められているのはゴールやアシストだと思うが、ガーナ戦はまずチームのバランスが大事になる。全員が守備をして全員が攻撃をする。しっかり全員が走らないといけない試合になる」と力を込める。コンフェデレーションズ杯、ウルグアイ戦と続いてきた苦しい流れは、格落ちのグアテマラ戦で3-0の勝利をおさめただけではぬぐい切れていない。W杯本大会を見つめたとき、今やるべきことは個のアピールより、チームの立て直しだというのだ。

「今はチームとして一丸となり、やるべきことをみんなでまとまってしっかりやらないといけない。そういう方向にみんなが向いている」

 ピッチ内外で全体を俯瞰できるのもまた清武の強み。味方の特徴と状況に応じたプレー選択が、自然と自身の存在を光らせることになるはずだ。

(取材・文 矢内由美子)

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