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[AFC U-19選手権予選]モンゴルの地で演じた“雪合戦”。クレバー日本が7発圧勝!

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前半23分、MF伊藤洋輝のゴールを喜ぶU-18日本代表イレブン

[11.6 AFC U-19選手権予選 U-18日本代表 7-0 U-18シンガポール代表 ウランバートル]

 4日に開幕したAFC U-19選手権予選は初戦から中1日を挟んだ6日に第2戦を迎えた。4か国対抗戦となっているI組の日本は初戦で地元モンゴルを7-0で破ったのに続いて東南アジアのシンガポールと対戦した。だが、彼らの前に立ちふさがったのは相手チームだけではない。モンゴルの首都ウランバートルは「予想以上に積もっていてビックリした」(MF郷家友太、青森山田高)という一面の銀世界。完全な“雪合戦”となったが、日本はセットプレーでの連続得点を皮切りに賢く雪の中らしいサッカーをやり切って、7-0と完勝。予選突破に王手をかけた。

 日本のスターティングラインナップは第1戦から8名をチェンジ。GKには若原智哉(京都U-18)が入り、DFは右から石原広教(湘南)、橋岡大樹(浦和ユース)、中村勇太(鹿島ユース)、杉山弾斗(市立船橋高)、中盤は堀研太(横浜FMユース)、藤本寛也(東京Vユース)、伊藤洋輝(磐田U-18)、田中陸(柏U-18)、2トップには田川亨介(鳥栖)と郷家が入った。

 氷点下の空の下、風雪を受けながらの試合である。「当然、このコンディションでは難しい試合になる」(影山雅永監督)と想定される中で、日本は“雪の中”での戦いを徹底した。「小さいことをやらずに、とにかく大きいことをやる」(伊藤)を意識して、日本の持ち味であるショートパスはあえて放棄してロングボール連発の展開を受け入れた。下手につないではカウンターのリスクはもちろん、負傷の危険性も高くなる。「とにかくやることをハッキリさせて、前へ前へとどんどんプレーした」(堀)。

 日本の選手もここまで積もった雪の中でプレーした経験がある選手は青森山田の郷家くらい。郷家は「今日はお前のゲームだぞ」と影山監督からハッパをかけられていたそうで、この雪の中でも笑顔を絶やさず周囲を引っ張るエース田川とのコンビでチームの牽引車となる。二人とも雪の中でも体をコントロールできる強さがあり、前からボールを追う力もあるだけに、雪に不慣れなシンガポールのDF陣に対して優位をキープし続ける。そして狙いは、FWが競ってこぼれたところから奪うセットプレーである。

 そして立ち上がりの3分、セットプレーのこぼれ球を中村が粘って奪ったFKからファーストゴールが生まれる。名手・堀が蹴った鋭いボールに頭で合わせたのは、188cmの長身MF伊藤。鮮やかにゴールが揺れて日本が先行に成功する。

 こういうゲームがもつれるとすると先制点を奪えずにズルズルと時間が経ったケースだが、その不安をいきなり払しょくしてみせた。続く23分にも堀のCKに伊藤が合わせて追加点を奪うと、26分には再びCKから中村が「自分の武器」と語っていたヘディングで3点目。さらに32分には郷家が自ら奪ったPKを決めて、日本はセットプレーから連続4得点。42分には堀のクロスをニアで田川が合わせに行ったこぼれ球へ田中が抜け目なく詰めて、5-0。前半でほぼ勝負を決めた。

 後半はハーフタイムに重機での除雪が行われたことでペナルティーエリア内の雪はかなり取り除かれたが、日本は色気を出さない方針を確認。「予選は何よりも結果」(伊藤)ということで、前半の方針を貫いて無理に繋ぐのではなく大きな展開に徹して時計の針を進めた。

 シンガポールの選手が相次いで負傷して試合の流れが断たれたこともあって、もどかしい展開になった時間帯もあったが、日本は後方の選手たちが盛んに「戦え!」「簡単に倒れてんじゃねえぞ!」と声を出し続け、闘争心あるプレーを持続。33分に田川がPKから追加点を奪い、37分には交代出場のMF川村拓夢(広島ユース)が田川のアシストからトドメの1点。7-0として、試合を締めくくった。

「(直前の)菅平の合宿でセットプレーのトレーニングをやっておいて良かった」と笑った影山監督は、「選手たちは雪の中で賢く戦ってくれた」と称賛。モンゴルの自然との戦いを乗り切った日本は、中1日を挟んだ8日の第3戦、モンゴルを5-2で破り、日本と同じく2連勝としたグループ2位のタイと対戦する。

(取材・文 川端暁彦)
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